浮島丸の沈没原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 06:59 UTC 版)
浮島丸の沈没原因は、機雷の爆発によって船体が損傷し、浸水したとされる。 磁気機雷に関しては、日本海軍の舷外電路(浮島丸は装備)で早期爆発が可能であったが、音響機雷に関しては掃海艇による音響発信機(英名フィクサー)による先導が必要であった。しかし、浮島丸は大湊から舞鶴への突然の寄港についての連絡が不十分であったことで、舞鶴港内への掃海艇の出迎えを待たずに湾内に進入してしまった。そのため、海底に敷設された機雷がディーゼルエンジンの音に反応して作動・爆発した(機雷は水圧式の可能性もあるが、浮遊式のものではない)。 機雷は機関部付近の船底直下で爆発し、爆発音は舞鶴湾を囲む山並に反響して、数発の爆発と感じた者もいたという。爆発の衝撃波で船体は一旦急激に持ち上がり、再び沈み込んだ際の抵抗疲労から船体構造に亀裂が生じた。そのため、裂け目から急速に浸水し、ついに沈没に至ったと推測される。船底爆発特有の被害状況であった。 ただ、あらかじめ機雷を警戒して沿岸部ぎりぎりを航行したこと(船の通らない沿岸部には機雷はないと予想された。結果として岸からの救助活動が迅速に行えた)に加え、万一の事態に備えて乗船者および乗組員の大半をデッキに誘導していたことが被害の拡大を防いだ。 沈没原因が機雷であることの証拠として、目撃者の証言、船体の損傷具合(海底敷設の機雷の爆発衝撃波特有の構造断裂状況、とりわけ、かかる大型船を内部爆発で切断するには、上部構造物の破壊が免れないところであるが、船体部品の飛散や船体の大きな膨らみ爆破孔などがない)、爆発後の激しい海底の泥の吹き上げによる海面の濁り(目撃証言、泥だらけの死体と遭難者)、遭難者の怪我の状態(回収遺体や救助者に火傷や、大きな損傷(バラバラ遺体)のないこと)等があげられる。 これらの状況から、アメリカ軍によって海底に敷設された2,000ポンド音響式機雷の爆発が原因であると認定されている。なお、アメリカ軍では浮島丸を「機雷による戦果」のひとつとして公式にカウントしている。
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