泣く要因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/05 07:52 UTC 版)
T・ベリー・ブラゼルトンは、過度の刺激が乳児の啼泣を導く要因であり、積極的に泣くことには、過度の刺激を排出し、赤ん坊の神経系が恒常性を回復するのを助けるという目的があると指摘した。カルロ・ベリーニは赤ん坊の泣き声の特徴と痛みの程度に相関があることを発見したが、泣く要因とその声の特徴の間には何ら直接的関係は見いだせなかった。 赤ん坊が明確な原因や潜在的な医学的問題がないにもかかわらず激しく泣くこともあり、特に夜や夕方に起こることが多い。これらは夜泣きや黄昏泣きと言われる。乳児の10~40%に見られ、罹患率は男女間で同等であり、授乳のタイプ・妊娠期間・社会経済的状態との相関はない。3歳児以降では、夜への恐怖(夜驚症)が夜泣きの一般的な原因となる。 シェイラ・キッチンガーは、母親の出産前のストレスレベルとその後の乳児が泣く量との間の相関、またバース・トラウマ(出産時心的外傷)と啼泣の間の相関性を見出した。産科の医療介入を経験した母親や出産中に無力感を感じさせられた母親は、他の赤ん坊よりも泣きがちな子を持つ傾向にあった。キッチンガーは、泣き声を止めるために次々と治療法を試すよりも、母親が赤ちゃんを抱き、泣くままに任せるよう勧めた。別の研究でもキッチンガーの発見を支持する結果が出ている。出生時に合併症を経験した赤ん坊は、生後3ヶ月の時点で一息に泣く時間が長く、またより頻繁に夜泣きで起きることが分かった。 アレサ・ソルターはこうした様々な知見に基づいて、乳児の啼泣についての一般的な感情解放理論を提案している。乳児が空腹や痛みなどの他の要因を排して明白な理由がなく泣いている場合、泣くことが有効なストレス解消メカニズムとなっている可能性がある、と彼女は示唆する。 彼女は、このような赤ん坊を落ち着ける手段として「腕の中で泣かせる」アプローチを推奨する。赤ちゃんをなだめ、落ち着かせるもう一つの方法は、親しみがあり居心地の良い母親の子宮の環境を疑似することである。ロバート・ハミルトンは、親が赤ん坊を5秒で落ち着け、泣き止ませることのできる技術を開発した。
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