法定責任説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/20 22:59 UTC 版)
瑕疵担保責任の規定は特定物売買にのみ適用があり不特定物売買には適用はないとする。損害賠償の範囲は原則として信頼利益の範囲であるとする。法定責任説は歴史的沿革という点において忠実な解釈であるとされる。 理論構成 不特定売買において瑕疵ある目的物が給付された場合、債務の本旨の履行とはいえず、売主に対して不完全履行による債務不履行責任を追及しうる。これに対し、特定物売買においては売買の目的物には代替性がなく、瑕疵のない特定物が存在しない以上、売主はその目的物を給付すれば債務の履行となり売主の給付義務は消滅するため債務不履行責任を追及する余地もなくなる。しかし、これでは売買代金を支払った買主は予定の品質・性状の物の給付を受けられないことになり不公平な結果となることから、特定物売買における買主保護のために法律(民法)によって売主に対して特に定めた責任が担保責任であるとする。 法定責任説の帰結と問題点 特定物売買については瑕疵担保責任により無過失責任になるのに対し、不特定物売買については通常の債務不履行責任により過失責任となる。 特定物売買については買主の完全履行請求権(瑕疵修補請求)が認められないのに対し、不特定物売買では一般の債務不履行責任としての完全履行請求権(瑕疵修補請求)が認められる。この点については、信義則あるいは取引慣行から認めうるとする学説がある。 特定物売買については瑕疵担保責任により損害賠償の範囲は原則として信頼利益の限度となるが、不特定物売買の場合には債務不履行責任であり履行利益を含む損害一般に及ぶ。この点については、売主に過失がある場合には履行利益の範囲に及ぶものと解されている。 特定物売買においては契約の解除に催告は不要であるのに対し(570条・566条1項)、不特定物売買では原則として契約の解除に催告を要する(541条)。 特定物売買の場合の責任は瑕疵担保責任で1年なのに対し、不特定物売買の場合の責任は債務不履行責任であり10年ということになる。この点については、通常の経済取引において品質の瑕疵を10年間も主張しうるというのは長すぎるとの批判がある。そのため、不特定物売買の場合の債務不履行責任が10年となる点については、信義則あるいは566条3項あるいは548条を類推適用して縮減すべきとみる学説がある。
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法定責任説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/11 20:54 UTC 版)
受領遅滞とは、本来、債権者が債権を行使するか否かは債権者の自由であり(第519条参照)、債務者のなした弁済の提供を受領する義務は負わないはずであるが、法が公平の観点から特別に認めた法定の責任であるとする見解である。受領遅滞は、弁済の提供の効果を債権者の責任という視点から見たものに他ならないとする。
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