受領遅滞の法的性格
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/11 20:54 UTC 版)
受領遅滞の法的性格をめぐっては、債権者に受領義務の有無と関連して、大きく2つの学説がある。 法定責任説 受領遅滞とは、本来、債権者が債権を行使するか否かは債権者の自由であり(第519条参照)、債務者のなした弁済の提供を受領する義務は負わないはずであるが、法が公平の観点から特別に認めた法定の責任であるとする見解である。受領遅滞は、弁済の提供の効果を債権者の責任という視点から見たものに他ならないとする。 判例は法定責任説を採用しており、通説も法定責任説と見られている。 債務不履行責任説 弁済は、債務者の弁済の提供と債権者の受領という協同行為によって実現されるものであって債権者の協力なくして実現できないのであるから、信義則上、債権者には債務者の弁済の提供を受領する義務(債務)があり、それを怠る債務不履行が、債権者の受領遅滞であるとする見解である。 債務不履行責任の一般原則から、受領遅滞が成立するためには、受領拒絶・受領不能について、債権者に帰責事由が必要である。 債務不履行責任説を採る学者としては、我妻栄、近江幸治がいる。
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