法・慣習の成立とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 法・慣習の成立の意味・解説 

法・慣習の成立(固有法の時代)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/22 23:47 UTC 版)

日本法制史」の記事における「法・慣習の成立(固有法時代)」の解説

古代のみならず前近代社会においては一般に法と慣習は一体となっており両者未分化の状態であったといわれる古代日本においても例外ではないが古く魏志倭人伝3世紀邪馬台国状況について、 「盗窃せず諍訟少なし其の法を犯す軽き者はその妻子没し重き者は其の門戸及び宗族滅す尊卑各々差序有り臣服するに足る。」 と述べこのときすでに刑法および身分制相当する法または慣習存したことを伝えている。こうした法や慣習生成する基盤2種がある。 内部的基盤 - 人の集住により形成され地域共同団体または共同組織内部生成した秩序 外部的基盤 - 政治的社会発達にともない上位政治的権力がもつ共同団体相互間に発生する紛争調停機今日学界の共通的理解では日本の古典みられる刑罰多くは (1) を基盤とする内部的刑罰属し(2) を基盤とする外部的刑罰日本古代においては未成熟であった考えられている。次の例は(2)が(1)を基盤として生まれたことを示す。 内部的基盤の例:高天原秩序乱したスサノオ八十万神の合議により千座置戸(ちくらおきど)を科せられたうえで神逐(かんやらい)すなわち追放刑処せられた。これは(1)の内部的なものを基盤として生まれたことを示す。つまり共同体秩序侵害者に対し内部的刑罰としての財産没収刑と追放刑(平和喪失)の神話的表現であったとみられる外部的基盤の例:天津罪中に農業慣行違反として次のものがある。 畔放あはなち)・溝埋(みぞうめ)・誇放(ひはなち)などの農業用水施設破壊。 頻蒔(しきまき)(他人播種した水田重ねて種をまき自分耕作地であると主張する行為)、串刺くしざし)(収穫期他人耕作した田にクシ刺し自分耕作地であると主張する行為) 。 このように共同体秩序犯され場合大祓おおはらえが行われる。大祓は本来、共同体成員全員参加しなければならなかったと推定される。このことは大祓などの慣行1.基盤として生まれたのであることを示している。 日本古代で、2.の外部的なものを基盤とする法・慣習は、上位政治権力による1.内部的基盤とする法・慣習規制されながら、またその法・慣習取り込みながら政治的かつ専制的な法として発達したであった。この点を石母田正はつぎのように図式化している。 石母田はまず 2.を基盤として発達した法または慣習族長法としてとらえる。この族長法の特徴1.基盤とする法または慣習自己の法にとりこみつつこれを族長権力維持のために活用した点にある。 たとえば上述各地域共同体独自に行っていた大祓族長によって〈国之大祓〉とされ族長挙行するものとなる。またたとえば内部発生した犯罪対し共同体有した検断権裁判権などは族長の手中に集中され盟神探湯くかたち)などの神判拷問をともなう裁判族長によって行われる

※この「法・慣習の成立(固有法の時代)」の解説は、「日本法制史」の解説の一部です。
「法・慣習の成立(固有法の時代)」を含む「日本法制史」の記事については、「日本法制史」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「法・慣習の成立」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「法・慣習の成立」の関連用語

法・慣習の成立のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



法・慣習の成立のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの日本法制史 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS