くか‐たち【探=湯/誓=湯/盟=神=探=湯】
盟神探湯(くかたち)
★.真実を述べていれば、熱湯に手を入れる・熱鉄を手に握るなどしても火傷をしない。
『グズルーンの歌』Ⅲ(エッダ) ギューキの娘グズルーンは不義の疑いをかけられ、潔白であることを示すため、中傷者ヘルキャとともに、煮えかえる鍋の底に手を入れる。グズルーンの手は無事に石を拾い上げ、ヘルキャは火傷を負う。
『心中刃は氷の朔日』上之巻「平兵衛勘当の場」 平兵衛が遊女小かんと別れることを誓うと、親方利右衛門は赤く焼けた鉄棒を皆の前で握れ、と迫り「誓言に偽りなければ氷よりも冷やかだろう。嘘のある者は腕が焼けただれて落ちるだろう」と言う。
『捜神記』巻2-11(通巻42話) 扶南王范尋は、沸騰した湯の中に金の指環を投げこみ、犯罪の容疑者に手を入れて探させた。無実の者の手はただれず、罪を犯した者は手を入れたとたん火傷を負った。
『ドイツ伝説集』(グリム)480「寡婦と孤児の訴えを裁くオットー帝」 斬首された伯爵の無実を奥方が訴え出、灼熱した鉄塊を素手で持つ。奥方は何の苦痛も感ぜず、伯爵の無実が証明される。
『日本書紀』巻10応神天皇9年4月 甘美内宿禰が、「兄武内宿禰に謀叛の心あり」と天皇に讒言し、武内宿禰は、「無実である」と弁明する。天皇の命令で、2人は磯城川のほとりで探湯をし、武内宿禰が勝つ。
『日本書紀』巻13允恭天皇4年9月 諸人の称する氏姓の実否を判定するため、詔して盟神探湯を行なった。泥を釜に入れて煮沸かし、手をかきまわして湯の泥を探らせ、あるいは斧を真赤に焼いて掌に置いた結果、真実を述べた者は無事で、偽りを述べた者は傷ついた。
『日本書紀』巻17継体天皇24年9月 任那に派遣された近江毛野臣は、訴訟裁定の折に好んで誓湯(ウケヒユ)を設け、湯で爛れ死ぬ者が多かった。
『水鏡』中巻 四天王像の1体を何度も鋳損なうので、称徳女帝が「仏徳により女身を捨て成仏できるなら、我が手を銅の沸く中に入れるゆえ、この度は鋳られ給え。願いがかなわぬならば、我が手は焼けるであろう」と誓ったところ、帝の手には少しの疵もなく、四天王像は完成された。
*→〔誓い〕1aの『トリスタンとイゾルデ』(シュトラースブルク)第24章。
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