上之巻(大経師内の段)
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「大経師昔暦」の記事における「上之巻(大経師内の段)」の解説
貞享元年(1684年)11月1日、京都の大経師家。この日は来年の暦を披露する、一年で最も忙しく晴れやかな日である。主手代の助右衛門が登場し、状況を説明する。 おさんの母は祝いと称して大経師家を訪れるが、おさんに実家の岐阜屋が借財の返済に困っており「頼むはそなたばかり」と銀1貫目の借用を申し込む。おさんは、夫に相談しては実家の恥となる借用の相談を手代の茂兵衛にする。引き受けた茂兵衛は、「親の恥は娘の恥、舅の恥は婿の恥」であり、恥をすすぐことは主人夫妻のためになることだからと、主人以春の印判を持ち出すが、しかし運悪く白紙に判をつくところを助右衛門に見られる。茂兵衛は厳しく追及するが、普段と異なる茂兵衛の行為には何か原因があるはずだと、正直な告白を求める。茂兵衛に思いを寄せていた女中の玉は、茂兵衛をかばうために、借金に困っている伯父(赤松梅龍)のために自分が金策を頼んだのだと申し立てる。しかし、以春は玉を狙っていたために「うぬらは密通か」とかえって怒りを爆発させ、おさんの詫び言も聞かずに茂兵衛を隣の空き家の二階に監禁する。以春は、帰りが遅くなるから言い残し、岐阜屋に報告に行く。 夜更け、おさんは玉の寝所に赴いて事情を打ち明けて昼間の礼を言う。玉は、惚れた茂兵衛のために一肌脱いだまでと言うとともに、毎夜以春がしつこく忍んできては自分を口説くと告げる。おさんも立腹し、以春に恥をかかせるためにお玉と部屋を取り換えて以春を待つ。しかし、そこにやってきたのは茂兵衛であった。茂兵衛はお玉が自分に寄せる恋情を知り、それを一度でもかなえさせようと思ったのであった。おさんは相手を以春と思い込んだまま、暗闇の中で肌を合わせる。しかし事終わったのち、外から帰ってきた以春の迎えに出た助右衛門の行灯の光で、二人は錯誤を知る。
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