沿岸流(ロングショアカレント)説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 05:02 UTC 版)
「橋北中学校水難事件」の記事における「沿岸流(ロングショアカレント)説」の解説
南日俊夫が著した「津市橋北中学校女生徒水死事件調査報告」によると、7月25,6日から発生した13号台風によるうねりがロングショアカレント(うねりが砕けてそのエネルギーが渚近くで起す流れ)となり、これが「異常流」の発生原因であるとするもの。さまざまな気象データの計算により事故当日午前10時頃には周期12,3秒、波高1.6mのうねりが本州沿岸に到達し得るし、津海岸では周期12秒、波高28cmのうねりとなり、これが沿岸流(ロングショアカレント)を生じて、正常な潮流を加えると秒速23ないし32cmの流れとなり得、瞬間的には秒速50cmに達する。この「異常流」により女生徒は澪に流されたとする。これに対し、やはり後の日本海洋学会会長宇田道隆(東京水産大学教授)は、沿岸流は長い直線海岸に起きるといわれているが、津海岸のような伊勢湾の中の海岸線の出入りの多いところに起きた「異常流」が、沿岸流の観念で説明できるかは疑問であるとしている。刑事第一審では、基礎とした資料がそのまま全部を採用しがたいので流れが相当強かったとする一資料に止めている。控訴審では、沿岸流・副振動(宇田)の理論によっても突発的なうねりとともに押し寄せた「異常流」を説明することは至難ではなかろうか、としている。民事では、沿岸流が「異常流」の原因であるとすれば津港海岸一帯に生ずべきはずなのに、中河原海岸特に女子水泳場附近に限って生じたという特異現象を説明できないとする宇田、坂本の証言を支持して、学者のした一つの推論の域を出ないとしている。
※この「沿岸流(ロングショアカレント)説」の解説は、「橋北中学校水難事件」の解説の一部です。
「沿岸流(ロングショアカレント)説」を含む「橋北中学校水難事件」の記事については、「橋北中学校水難事件」の概要を参照ください。
- 沿岸流説のページへのリンク