没後・評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 00:12 UTC 版)
第二次世界大戦の終結後にロートの存在について少しずつ語られるようになり、1956年に初めての選集が刊行される。また『蜘蛛の巣』は長いこと忘れられていたが、戦後になってアムステルダムの亡命出版社の書庫で新聞切り抜きが発見され、1967年に初めてドイツで公刊された。ロート『蜘蛛の巣』(1923年)は、ジャン=ポール・サルトル『一指導者の少年時代』(1938年)やロベール・メルル『死はわが職業』(1952年)に先立つ、ナチス指導者の形成をテーマにした小説であるが、しかし、この作品はナチス勃興前夜、実生活の日付とほぼ重なりあう歴史の現場で書かれたものである ヨーゼフ・ロートについては、研究者による資料の収集も進められ、1974年にアメリカのD.ブロンセン『ヨーゼフ・ロート 一つの伝記』が刊行され、経歴や作家像が知られるようになった。生誕100年の1994年からは、ヨーロッパ各地で展示やシンポジウムが開催された。日本では1930年の存命中に小松太郎が『脱走者フランツ 涯しなき逃走』を翻訳している。『ヨーゼフ・ロート作品集』全3巻が東邦出版社(1974)より、『ヨーゼフ・ロート小説集』全5巻が鳥影社より刊行されている。 シュテファン・ツヴァイクは、ロートのなかに「カラマーゾフ的なロシア的人間、優雅なオーストリア的人間、古くからの智恵を秘めたユダヤ的人間がいる」と評している。
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