永田正
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/01 21:51 UTC 版)
永田 正(ながた ただし、1952年1月23日[1] - )は、日本の実業家。東京都出身[1]。1974年3月に立教大学法学部法学科を卒業[2]、同年4月に京王帝都電鉄(現:京王電鉄)入社[1][3]。京王電鉄代表取締役会長兼社長を経て[1]、同社代表取締役会長[1][3][4][5]を務めた。
来歴・人物
バス事業との関わり

1974年に京王帝都電鉄(当時)に入社直後、希望配属先を聞かれ「バス以外ならどこでもいい」と答えたところ、バス事業を担当する自動車事業部(現:京王電鉄バス)に配属され、バス分社化までの約25年をバス事業に携わることになる[6][7]。
入社後は、自動車事業部八王子営業所(現:京王電鉄バス八王子営業所)所長に就任[6]、父親と同世代の職人気質のバス運転手らとのコミュニケーションに悩んだ結果、営業所内に卓球台を設置し、卓球を通じて打ち解けたことから「卓球所長」と呼ばれた[6]。そして運転手らとの会話を通じて、営業所内の休憩場所が足りず、先輩に遠慮してバス車内で仮眠を取る若手運転手の話など、乗務員の労働環境についても聞き、営業所内の休憩室整備など待遇改善に尽力する[6]。
1992年に自動車事業部課長に就任[7]。同社の運行エリアで多摩都市モノレールが開業(1998年)する影響も鑑み、バス事業の抜本的な収支改善を目指して、1997年に分離子会社の京王バス(初代、のちの京王バス東)を設立してバス事業の分社化を推進した[7]。その後、2001年には南大沢京王バス(のちの京王バス南)、翌2002年には京王電鉄バスが設立され、京王のバス事業は電鉄本体から分離された。
また京王バス(初代)の分社化に合わせ、京王電鉄(当時)と日産ディーゼル(現:UDトラックス)が共同開発した、車椅子スロープ付き小型ワンステップバスの日産ディーゼル・RNを1996年より一括導入し、運行コストダウンとバリアフリーを同時に図るなど[7]、バス事業の合理化とともに旅客サービス向上に務めた[7]。
鉄道の環境対策
2000年6月に京王電鉄関連事業部長[3]、2002年6月に総合企画本部グループ事業部長[3]、2003年6月に人事部長に就任[3]。2004年6月に取締役に昇格[3]。2005年6月に取締役経営企画部長[3]、2006年6月に総合企画本部経営企画部長[3]、2007年6月に常務取締役・総合企画本部長に就任[3]。2009年6月からは代表取締役社長を務め[3]、2010年6月に総合企画本部長に就任した[3]。
京王電鉄社長就任中は鉄道の環境対策に取り組み、2012年9月までに日本国内の大手鉄道会社では初めて全車両をVVVFインバータ制御電車に更新[8]、翌2013年6月には高幡不動検車区を改築して省電力・節水などの環境対応設備を盛り込んだ[8]。車両の省エネ対策はその後も推進されている[9]。
多摩ニュータウン活性化
また沿線の地域活性化にも取り組み、2007年に生活支援サービス「京王ほっとネットワーク」を設立[10]、2012年6月には「沿線価値創造部」に発展した[10]。2013年8月28日には、京王電鉄本社所在地の多摩市と包括連携協定を締結[11][12]、高齢化の進む多摩ニュータウンエリアで京王ほっとネットワークによる移動販売を開始し[13]、その際の記者会見では「多摩ニュータウンエリアは当社とともに発展してきた」と語った[14]。多摩ニュータウン内の京王多摩センター駅・京王永山駅周辺で始まった移動販売は、その後は要望を受けて販売エリアを拡大[15]、八王子市・日野市にも進出した[16]。
2015年6月からは代表取締役会長兼社長に就任[1]、2016年6月に後任の紅村康が代表取締役社長に就任[4]、これに伴い代表取締役会長に就任した[3][1][4][5]。
他社社外取締役として
京王電鉄会長在任中の2022年5月、ウエルシアホールディングス社外取締役[17]。同2022年6月、京王電鉄代表取締役会長を退任し相談役に就任、株式会社うかい(本社:八王子市)取締役に就任。
2025年現在、ウエルシアホールディングス社外取締役[18]、株式会社うかい社外取締役[19]を務める。
脚注
- ^ a b c d e f g 京王電鉄株式会社 代表取締役の異動について 決算プロ
- ^ 創立140周年特設サイトのスペシャルコンテンツ「立教と私―140の未来―」を更新しました。今回新たに9名の方々にメッセージを寄せていただきました。 立教大学 Facebook公式アカウント、2014年10月14日
- ^ a b c d e f g h i j k l 京王電鉄 役員構成 有価証券報告書 Ullet(ユーレット)
- ^ a b c “代表取締役の異動について”. 京王グループ (2016年4月28日). 2020年4月8日閲覧。
- ^ a b “会社概要 役員一覧”. 京王グループ. 2020年4月7日閲覧。
- ^ a b c d 京王電鉄会長兼社長 永田正氏(上) 信頼つかんだ「卓球所長」 日本経済新聞、2015年9月22日付朝刊
- ^ a b c d e 京王電鉄会長兼社長 永田正氏(下) 「チョロQ」負の循環断つ 日本経済新聞、2015年9月29日付朝刊
- ^ a b “「環境優等生」京王電鉄走る 45%節電、駅もエコに”. 日本経済新聞 電子版 (2014年3月11日). 2020年4月7日閲覧。
- ^ “車両の電力3割減 京王電鉄、終わりなき省エネ投資”. 日本経済新聞 電子版 (2016年4月5日). 2020年4月7日閲覧。
- ^ a b “京王、住民向け移動販売が生むブランド価値”. 日本経済新聞 電子版 (2014年2月25日). 2020年4月7日閲覧。
- ^ “京王電鉄と多摩市が地域発展の推進に関する包括連携協定を締結”. 京王グループ (2013年8月28日). 2020年4月8日閲覧。
- ^ “京王電鉄との連携について”. 多摩市 (2015年8月28日). 2020年4月7日閲覧。
- ^ “京王電鉄と多摩市が包括提携協定-サービス第1弾は市内巡る移動販売”. 八王子経済新聞 (2013年8月28日). 2020年4月7日閲覧。
- ^ “京王電鉄、トラックで移動販売 東京・多摩市と連携協定”. 日本経済新聞 電子版 (2013年8月28日). 2020年4月7日閲覧。
- ^ “京王電鉄 愛宕団地で移動販売開始 都営向けでは初|多摩”. タウンニュース 多摩版 (2018年1月25日). 2020年4月7日閲覧。
- ^ “電鉄が「老いる郊外住宅地」を見捨てないワケ 京王電鉄が運営する「移動販売車」|通勤電車”. 東洋経済オンライン. p. 4 (2019年8月3日). 2020年4月7日閲覧。
- ^ ウエルシアHD 独立社外取に永田正京王電鉄会長ら選任、独立社外取が過半数に 流通業界専門ニュースサイト 激流オンライン、国際商業出版株式会社、2022年4月18日
- ^ 役員一覧 ウエルシアホールディングス、2025年2月28日閲覧。
- ^ 会社情報 - 役員一覧 株式会社うかい、2025年2月28日閲覧。
関連項目
- 京王電鉄
- 京王電鉄バス
- 京王電鉄バス八王子営業所 - 所長を務めた
- 日産ディーゼル・RN - 京王電鉄と日産ディーゼル(現:UDトラックス)が共同開発した小型バス
- ウエルシアホールディングス - 社外取締役を務める
- うかい - 社外取締役を務める
外部リンク
- 京王電鉄会長兼社長 永田正氏(上) 信頼つかんだ「卓球所長」 - 日本経済新聞、2015年9月22日付朝刊
- 京王電鉄会長兼社長 永田正氏(下) 「チョロQ」負の循環断つ - 日本経済新聞、2015年9月29日付朝刊
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