水素分子の生産
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 04:59 UTC 版)
工業的には、炭化水素の水蒸気改質や部分酸化の副生成物として大量に生産される(炭化水素ガス分解法)。硫黄酸化物を除いたパラフィン類やエチレン・プロピレンなどを440 °Cの環境下でニッケルを触媒としながら水蒸気と反応させ、粗ガスを得る。 C nH 2 n + 2 + nH 2 O ⟶ nCO + ( 2 n + 1 ) H 2 {\displaystyle {\ce {C_nH_{2n{+}2}\ + nH2O -> nCO\ + (2n{+}1)H2}}} C nH 2 n + 2 + 2 nH 2 O ⟶ nCO 2 + ( 3 n + 1 ) H 2 {\displaystyle {\ce {C_nH_{2n{+}2}\ + 2nH2O -> nCO2\ + (3n{+}1)H2}}} 副生される一酸化炭素は水蒸気と反応して二酸化炭素と水素ガスとなる。のちにガーボトール法にて二酸化炭素を除去し、水素ガスが得られる。粗ガスの精製には、圧縮したうえで苛性ソーダ洗浄を行い、熱交換器にて重いガス類を液化除去する方法(液化窒素洗浄法)もある。 また、ソーダ工業や製塩業において海水電気分解(英語版)の副生品として発生する水素が利用されることもある。現在のところ、水素ガスはメタンを主成分とする天然ガスと水から、触媒を用いた水蒸気改質によって生産する方法が主流である。日本国内における2019年の水素の生産量は627668×103 m3、工業消費量は400802×103 m3である。 水素分子(水素ガス)を生じる化学反応は多岐にわたる。古典的には実験室において小規模に生成する場合、亜鉛やアルミニウムなど水素よりもイオン化傾向の大きい金属に希硫酸を加えて発生させる方法が知られている(キップの装置)。あるいは水酸化ナトリウムや硫酸などを添加して電導性を増した水や、食塩水を電気分解して陰極から発生させることもできる。 実験室レベルにおいては工業的に生産されたガスボンベ入りの水素ガスを利用する。実験の際は防爆環境にて行われる。
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