民間が要請する天下り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 15:36 UTC 版)
天下りには受け入れ側にとっても官公庁との人脈作りや入札などの情報収集、退職した官僚の技術や見識の取り込みなどメリットが多く、結果として天下りが再就職のためのシステムとして固定化される要員の一つとなっている。 日本では武器輸出が非常に困難であり、国内における防衛産業の顧客は自衛隊以外には海上保安庁向けに僅かな需要が存在するだけで、その商品の善し悪しが解るのも装備品の運用に関わった自衛官だけである。また官僚でなくても元々自衛官は定年が若く、その人材を防衛産業が長年受け入れてきた実情がある。 文部科学省における再就職等規制違反では、大学側も設置に関わる認可や予算配分についての情報を得るために文科省から退職者を受け入れるシステムが構築されていた。 防衛省は定年前だが昇進によりデスクワークが増えて操縦時間が減った40代のパイロットを斡旋する『自衛隊操縦士の民間における活用(割愛)』を行っている。これは名目上のポストではなく事業用操縦士の資格と経験が要求されるが自社養成が難しい中小の航空会社や、高い技能が要求されるテストパイロットを必要とする航空機メーカーと自衛隊員の削減による人件費抑制を狙う防衛省の思惑が一致した制度である。防衛関係の天下り問題が取りざたされた2009年に天下りとの指摘を受け自粛していた。しかし格安航空会社の登場で世界的にパイロットが不足してきたことや天下り問題の報道が沈静化したことに伴い2015年から制度を復活した。世界的に軍のパイロットが航空会社や民間軍事会社に移籍することが問題視されているが、これは税金で養成されたにもかかわらず若いうちに民間へ転身することで、結果的に税金が浪費されることに対してであり、定年退官し民間へ再就職したパイロットは多数存在する。多くの国ではパイロットや医官など養成に多額の税金がかかる職種には再就職に制限が設けられているが、社会情勢の変化により不足が深刻化した場合は救済措置として条件を緩和するなど、一種の調整弁としても利用されている。
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