正確さの改善
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/09 08:22 UTC 版)
1974年に、国際度量衡委員会 (CIPM) の下部機関である秒の定義に関する諮問委員会(CCDS、現CCTF)において、国際原子時 (TAI) の構成法についての研究が報告された。国際原子時 (TAI) は、SI秒を積算した時系であるが、これまで7機関の独立な原子時系で構成してきたが、これらの時系はいずれも商用のセシウム原子時計によるものであり、各時系の設定方法の違いや、時計の台数の違いなど問題が多かったので、国際報時局(BIH、現IERS)では、個々の原子時計のデータを数多く集め統一した処理による新しい計算法(ALGOSと命名)を開発し、1973年6月から実施しており、かなり改善する見込みであると説明された。そして、今後はセシウム原子一次標準器による較正値を取り入れた計算法の研究を促進することを勧告した。また、ロランCによる原子時計の比較では、欧米と極東間など大陸間の時刻比較の精度が良くないので時刻比較法の研究促進も勧告した。 1976年にグルノーブルで開催された国際天文学連合 (IAU) 第16回総会において、第4委員会(暦)及び第31委員会(時)の共同決議第2号で、国際原子時 (TAI) の歩度を (1 + 1 × 10−12) 倍に拡げることが勧告され、1977年1月1日 TAI にこの修正が実施される。この修正は、国際報時局(BIH、現IERS)が管理する国際原子時 (TAI) の歩度が、アメリカ合衆国の国立標準局(NBS、現NIST)、カナダの国家研究会議 (NRC)、ドイツの国立物理工学研究所 (PTB) などのセシウム一次標準器の結果に照らして、約 1×10−12 秒だけ定義の1秒より短いことが判ってきたために実施された。 1978年には、1976年から開発中だった原子時計群のみ用いた平均原子時の計算法を用いるようになり、国際原子時 (TAI) の他に、各国の標準機関の原子時 TA(i) を決定し公表するようなる(“i” は原子時を維持する標準機関の略称で、例えば電波研究所の場合は RRL、現在の情報通信研究機構の場合は NICT)。
※この「正確さの改善」の解説は、「国際原子時」の解説の一部です。
「正確さの改善」を含む「国際原子時」の記事については、「国際原子時」の概要を参照ください。
- 正確さの改善のページへのリンク