欧米における評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 00:44 UTC 版)
欧米においても、この戦争については様々な見解が存在する。著名なSF作家であり歴史研究家でもあったH・G・ウェルズは、日本は帝国主義の伝統をもち、中国への最も主要な侵略国としている。そして、アジアにおける反ヨーロッパ思想の中心として日本を位置づけ、ナチスの陰謀よりも深刻で明白、かつ遠大と論じた。歴史家アーノルド・J・トインビーは、太平洋問題調査会で来日した際の公開講演において、日本がカルタゴの運命の轍を踏まないようにと説いた。戦後は、アジアとアフリカを支配してきた西洋人が過去200年の間信じられてきたような不敗の神ではないことを西洋人以外の人種に明らかにしたと述べた。そして、日清戦争から太平洋戦争までの日本は軍国主義と国家主義を主軸にしていたと指摘し、日本国憲法第9条を歴史的課題に対する英断として評価した。歴史家クリストファー・ソーンは、日本はナチス・ドイツとファシスト・イタリアの侵略に加担する一方で、アジアにおけるヨーロッパ植民地の終焉を早める契機にもなったとしている。 日本への原子爆弾投下の正当性の問題については、ジョン・ロールズをはじめ、その正当性が議論されている。正当性が問われる理由の根拠として、原爆を使わずとも都市への焼夷弾爆撃と機雷による海上封鎖で日本の継戦能力が既に奪われていたこと、使うとしても人口希薄地帯に投下して威力を理解させ降伏を迫れば日本は受け入れる以外の選択はほとんどなかった可能性が高いこと、が挙げられる。
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