次世代MIVEC(連続可変バルブリフト・カム位相タイプ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/12 05:52 UTC 版)
「MIVEC」の記事における「次世代MIVEC(連続可変バルブリフト・カム位相タイプ)」の解説
2005年東京モーターショーで技術展示され、バルブリフト量を連続可変することで、スロットルバルブを使わずに出力を制御するエンジンで、BMWのバルブトロニックやトヨタのバルブマチックなどと同じ様に連続可変バルブリフト制御するが、三菱ではDOHCではなく、SOHCで作動させている。 本システムは吸気バルブ制御をカム位相変化を伴う連続可変リフトとし、位相はリフト量の増大に連動しカムが遅角する。それとは別にカムシャフトの位相変化も行なっている。一般的な連続可変バルブリフト機構は単独ではリフト量の変化のみで位相変化はほぼ生じない。このため吸気の開弁時期をリフト量に関わらず上死点前後とするにはカムシャフトの位相変化を行う必要性があった。この点から吸気バルブを位相変化した場合に排気バルブの位相も変化してしまうSOHCでの従来方式の連続可変リフト機構の採用を困難としていた。しかし本システムではリフト量と連動して遅角を行うため、リフト量に関わらず開弁時期はほぼ一定となり、カムシャフトの位相変化を必要とせずSOHCでも十分に成立する形となっている。この様に開発時はカム位相変化機構が不要になるというメリットも謳っていたが、導入にあたってはカム位相変化機構を併用する形になった。これは吸排気の位相を同時に変化させる事で下記の様な作用が得られるためである。 吸気バルブはリフト量が大きくなるほど遅角する。これにより低負荷の低リフト時では吸気は早閉じとなり、さらにカム位相も進角することで早閉じミラーサイクルとして作用し吸気ポンプ損失を低減、また連動して排気も早開きとなるため排出ポンプ損失が低減する。中負荷時は高リフトとなると共に遅角、さらにカム位相も遅角する事で遅閉じミラーサイクルとして作用し吸気ポンプ損失を低減、排気も遅開きとなり膨張エネルギーを最大限回収する形となる。さらにリフト量増大によるオーバーラップ拡大と排気遅閉じとなる事から排気を再導入する形となり内部EGRとしても作用する。このため本タイプのMIVECを採用した4J10エンジンのベースになった4B10エンジンで使用されていたEGR装置は4J10では省略されている。 SOHCではカム位相を変化させると吸気と排気の位相が同時に変化してしまう事からバルブオーバーラップは変わらず、排気バルブのタイミングにも常に影響を与えてしまうため、SOHCエンジンでカム位相可変機構が採用される事は限定的で本システムは結果的にではあるがSOHCながらカム位相変化機構を持つ比較的珍しい形式となっている。 なお完全なスロットルレスではなくアイドル時の燃焼安定やブレーキサーボやブローバイガス吸引の負圧を発生させるためなどにスロットルバルブは残され、フェイルセーフも兼ねている。
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