橋の下の異変~任務完了
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 08:58 UTC 版)
「戦場にかける橋」の記事における「橋の下の異変~任務完了」の解説
橋脚に爆弾を仕掛け終えたシアーズらは、対岸へ点火箱を設置しにわずかに下流へと下った。点火箱の確認を終えた後、シアーズとヤイはジョイスを残し、川を泳いで戻って夜を明かした。シアーズとヤイは目を覚ますと、川の水位が下がっていることに気付いた。ジョイスの手元では電線が剥き出しになっていた。さらに遠くから見ていたウォーデンですら、橋の下に取り付けられた爆薬まで目で確認できた。ジョイスが電線を隠すためにひたすら砂を撒き続けていると、一発の銃声が聞こえた。橋の完成への「祝砲」であった。斉藤ら日本兵が橋の上を行進し、初めて通過する列車を迎え入れようとしていた。ニコルソンと斉藤は、最後の点検のため橋の上を歩いていた。クリプトンは、局外者でありたいとして、橋から離れて丘の上に移動し、それを見守っていた。 そして山の向こうから初めて通過する予定の列車の汽笛が鳴った。その時、ニコルソンが橋の下に目をやると、本来あるはずのない縄のようなものが見えた。それを異変と気づいた彼は、斉藤を連れて橋を降り、河岸を下っていった。すると、一本の木に縄が垂れ下がっているのを見つけた。その縄を辿っていくと、大きな石に巻きつけられていた縄は急に重くなった。斉藤に助けを求めようとしたその時、ジョイスが斉藤を背中から刺し殺した。ニコルソンはその場でジョイスを取り押さえた。ジョイスは「自分はイギリス軍兵士である。決死隊の命令で橋を爆破しに来た」と言った。驚愕したニコルソンは慌てて橋にいる日本軍兵士らに援軍を要請した。 シアーズが飛び出すと、日本軍と決死隊は一斉に射撃を開始。ジョイスは銃弾に当たり絶命。向こう岸にいたヤイも射殺された。かつて収容所で共に時間を過ごしたシアーズが日本兵の銃弾を浴びながら、河を渡って爆破装置に向かおうとし、自分を睨んでくるのを見て、ニコルソンは愕然とした。「自分は何のために橋を建設したのだ…」。 さらにウォーデンの迫撃砲での射撃を喰らったニコルソンは意識が朦朧となり、点火箱のスイッチの上に倒れこんだ。丁度その時、列車が橋を通過しようとしており、これ以上ない最悪の結末を迎えた。イギリス軍捕虜たちの勲章とも言える橋は粉々に爆破され、橋の上の日本兵や列車の乗客までが犠牲になった。シアーズやニコルソンもそのまま死亡した。ウォーデンは、そばにいた現地人の女性たちに、「仲間を捕虜にしないためにはこれしか手段がなかった」と言い訳するしかなかった。 丘から降りてきたクリプトンは、爆破後の悲惨な光景を目の当たりにして「馬鹿げている。信じられない」と嘆くだけであった。そして、河には例のイギリス軍の功績をたたえる看板がただ空しく浮かぶばかりであった。
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