標的機としての運用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 06:07 UTC 版)
「F-4 (戦闘機)」の記事における「標的機としての運用」の解説
アメリカ海軍は初期に生産され老朽化したF-4Bを標的機へ改造する計画を立案しペンシルベニア州ウォーミンスターにあるNADC(海軍航空開発センター)で標的機への改造研究と設計を実施した。同センターは空対空・地対空ミサイルの試験や濃密な対空防御を有する地域への電波妨害による模擬侵入を可能とするRPV(遠隔操作機)の研究を行っていた。 NADCは老朽化したF-4B一機を入手し、操縦系統をすべて無線を経由して操作するように改造した。完成した無人標的機は「QF-4B」と名付けられ、視認性を良くするために真っ赤に塗装されたが機首にアンテナが二本増えている他は外見的な違いはなかった。コックピット内の操縦装置は人間による操作を可能としたままで全操縦系統を無線操作で作動させるためのトグル・スイッチを多数追加している。これは駐機場と滑走路間の往復と滑走路と空中の往復間の操縦という別種の操作を地上のパイロットと空中の誘導母機「DF-4J」(別名フォックス:F-4Bの改造機)から遠隔操作を行うパイロットで分担することで改造内容や遠隔操作手順を単純なものとすることを意図したものである。 QF-4Bの操作は機上コマンドコントロール受信機で受信する406MHz~550MHzの帯域中の20チャンネルの信号を使用する。20チャンネルの信号はブレーキのオン・オフ、降着装置の上下、上昇降下、推力の上昇下降、フラップ・方向舵・エアブレーキの作動、搭載物の投棄、アフターバーナーの点火と停止、拘束フックの上下、ドラッグシュートの作動、記録カメラの作動など、飛行に必要な役割にそれぞれ割り付けられる。 アメリカ海軍は原型機を含めた44機のF-4BをQF-4Bに改造し標的機としてミサイル実験部隊で運用した。以降、老朽化・余剰となったF-4E/N/S/Gも無人標的機に改修されている。
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