構成の役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 03:02 UTC 版)
「プロット (物語)」も参照 三幕構成はシド・フィールドによって発明されたものではなく、映画に共通して見られる基礎である。それが言葉や図式ではっきり表され、誰にとっても使えるモデルとなったことが、フィールド以降の大きな変化である。一般に、映画は三幕構成として理解できる。それは三幕構成を意識して制作された作品か否かとは無関係である。すなわち「三幕構成の映画」という分類は意味を持たない。三幕構成は映画の脚本を理解するためのモデルであり、ほとんどの映画は三幕構成のモデルによる分析の対象となるためである。狭義の「ハリウッド映画」のみならず、ウディ・アレンのようなニューヨーク派の作品、さらに山田洋次作品、周防正行作品、およびスタジオジブリ作品のような日本映画も、三幕構成として分析することが可能である。映画は6幕や9幕などにも分割できるが、それらは三幕構成と同じ基本構造を異なる言葉で表現しているにすぎない。 三幕構成は単なるモデルである。すなわち、三幕構成は、公式やルールではなく、見取り図 (パラダイム) であり、スタイルでしかない。したがって、具体的なページ数 (時間) は重要ではない。ストーリーが構成を決めるのであり、構成がストーリーを決めるのではない。脚本の構成は、関連のあるイベントやエピソードを解決に向かうように並べ、レイアウトすることにより、全てを明確な一本のストーリーラインでつなぐツールである。そして、その目的は、ドラマとして最大の効果を得ることにある。 三幕構成は、ストーリーを伝えるために効果的な「フレームワーク」(枠組み) にすぎない。よって、それは独創性を奪う制限ではない。三幕構成はその意味で、論文における序論、本論、結論と同じ類のものでしかない。三幕構成が問題とするのは「どんなストーリーを語るか」(what kind) ではなく「より上手く語ること」(better than) である。三幕構成によって同じような内容のストーリーになるというのは初歩的な誤解である。
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