概念の由来
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 05:13 UTC 版)
ジョン・ホイーラーは1955年に103以上の原子番号を持つ超重元素が存在する可能性を提案した。当時知られていた元素以上に安定性が増す領域は、核の殻の概念が最初に解明された1957年に提案された。殻模型は 原子核が原子の中のはるかに大きい電子核構造に似た方法で「殻」の中に構築されている。すなわち、核の殻は通常互いに接近している量子エネルギー準位のグループであるが、時々中性子と陽子の数が核内の所与の殻のエネルギー準位を完全に満たすとき、次の殻を満たし始めるのに必要なエネルギーは非常に大きいということである。これらのいわゆる殻ギャップでは、核子あたりの結合エネルギーは極大値に達する。すなわち、そのような核は閉殻構造を持たないものよりも安定となるだろう。この模型の最初の概念は、既知の閉殻のパターンから安定の島という概念が現れる超重元素への拡張をもたらした。中性子の1つの可能な魔法数は184であり、それと合う可能な陽子数は114, 120, 122, 124, 126である。最も重い安定核208Pbの次のダブルマジック核(閉じた陽子と中性子の核を持つ)は310126であると提案されており、これは陽子と中性子ともに魔法数であり、よってこの核は非常に長い半減期を持つと考えられていた。後の計算で298Fl (Z = 114) が次のダブルマジック核となり、310126はマイクロ秒以下のα崩壊を受けることが示された。 1965年、「安定の島」の可能性がグレン・シーボーグにより最初に提案され、後にローレンス・バークレー国立研究所の研究者が興味を持つようになった。同位体298Fl (Z = 114, N = 184) は、可能性のあるダブルマジック数により特に興味深い物であった。この「魔法の島」への関心は、いくつかの計算により安定の島の超重原子は数十億年の半減期がある可能性があると示されたことでその後数年で大きくなっていった。安定の島の元素はその高い原子質量にも関わらず自発核分裂に対して特に安定と予測されていた。もし長寿命の超重元素が存在すると、中性子源として粒子加速器におよび非常に低い臨界質量の結果として核兵器に使われるだろうと考えられた。これらの推測により、1960年代70年代には多くの研究者が自然界でおよび粒子加速器による元素合成を用いて超重元素を探究した。
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