言葉と概念の由来
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 05:29 UTC 版)
ペドフィリア(pedophilia)は、ギリシア語で「子ども」を意味する「παῖς, παιδός (paîs, paidós)」と、「友好的な愛」もしくは「友情」を意味する「φιλία (philía)」を組み合わせた言葉である。 ペドフィリアは歴史上、古くから存在していたと考えられるが、概念の命名、定義、研究は19世紀に始まる。精神医学上の概念としては、精神病理に対し深い識見を備えていたウィーン大学教授リヒャルト・フォン・クラフト=エビングが、1886年の著書「性的精神病理」において最初に提唱したとされる。同書では、児童性的虐待者の司法精神医学的分析などがなされている。また、大人の男女からの少年への性的虐待にも触れられている。ジークムント・フロイトの1905年の著作「性理論に関する三つのエッセイ」では、純粋な小児性愛者は稀であり、その中では思春期前の少女が対象となることが多いと記されている。オーギュスト・フォーレルはクラフト=エビングとは異なり、1908年に小児性愛者("Pederosis")は矯正可能ではないとの考察を記している。また、異常心理学では、「性の異常心理」として「性対象異常」の下位範疇において児童・小児を性愛の対象とする性倒錯として位置付けられた。20世紀半ばまで、精神医学においても性倒錯として把握されたが、今日の精神医学においては、性嗜好障害とされる。20世紀初頭には、pedophiliaの語は広く定着してゆき、多くの医学辞典(例えば1918年の「tedman's Medical Dictionary第5版」など)に掲載されるようになった。1952年には、「精神障害の診断と統計マニュアル第1版(DSM-I)」にもペドフェリアの概念が掲載された 。DSM-IおよびDSM-IIでは、性的倒錯の一種であると分類され、診断基準は掲載されなかったが、1980年のDSM-IIIでは詳細の記述と診断のガイドラインも掲載され、1987年の改訂版DSM-III-Rでは診断基準が更新された。
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