松前矢越道立自然公園とは? わかりやすく解説

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松前矢越道立自然公園

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/11 18:31 UTC 版)

松前矢越道立自然公園
Matsumae-Yagoshi Prefectural Natural Park
分類 自然公園都道府県立自然公園
所在地
座標 北緯41度23分54秒 東経140度11分58秒 / 北緯41.39833度 東経140.19944度 / 41.39833; 140.19944座標: 北緯41度23分54秒 東経140度11分58秒 / 北緯41.39833度 東経140.19944度 / 41.39833; 140.19944
面積 2,052ヘクタール[1]
開園 1968年
運営者 北海道
事務所 渡島総合振興局保健環境部環境生活課
事務所所在地 北海道函館市美原4丁目6-16
公式サイト 松前矢越道立自然公園
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松前矢越道立自然公園(まつまえやごしどうりつしぜんこうえん)は、北海道南部の渡島半島[注釈 1]にある都道府県立自然公園である。

概要

公園は日本海から津軽海峡に至る広範囲の海面を含んでおり、松前町西方沖の渡島大島渡島小島松前町から福島町を経て知内町にかけての海食崖海浜などが断続的に続く海岸地域、知内町内陸部の森林景観を主体とした知内温泉の地域からなる[1]

渡島大島は「オオミズナギドリ繁殖地」、渡島小島は「松前小島」として国の「天然記念物」、北海道の「鳥獣保護区」に指定されている[2][3][4]

自然

渡島大島渡島小島の島嶼地域では、標高が比較的低いことにもかかわらず多くの高山植物を見ることができ、温帯植物、海岸植物、岩礫地植物が混生して特異な植生となっている[1]。一方、アメリカオニアザミオニノゲシなどの移入植物も分布している[1]

渡島大島は渡り鳥の休息地になっているほか、日本最北端のオオミズナギドリの繁殖地になっている[1]。渡島小島はウトウなど海鳥の繁殖地であり、ウミガラスケイマフリ繁殖地の南限になっている他にも、カラフトルリシジミの生息も確認されている[1][5]

海岸地域では、白神岬周辺や福島町岩部地区の森林地域が北海道の鳥獣保護区に指定されており[4]渡り鳥の要衝地になっている[6]。知内温泉周辺の地域では、知内川の渓流沿いにブナナラ天然林が広がっている[6]

北海道本土部における公園内の陸生の大型哺乳類は多くはないが、エゾシカヒグマの生息も確認されている[7]

津軽海峡は現在でも海獣回遊経路として機能しており[8][9]、本公園内ではカマイルカが最もよく見られ、矢越岬の周辺では観光船からのウォッチングも可能である[7]。他にもミンククジラ[10]ツチクジラ[注釈 2]トドなどの海生哺乳類[注釈 3]が確認されている。また、過去には絶滅危惧種であるセミクジラコククジラザトウクジラのような沿岸性の大型鯨類や[14][15]ニホンアシカ絶滅種)やトド[16]キタオットセイアザラシウバザメオニイトマキエイ(マンタ)やマンボウなどの大型魚類[17]なども函館湾も含めた津軽海峡の内外に棲息していたと思われる[11][18]。一方で、近年の地球温暖化による環境の変化によってウミガメなどが以前よりも一帯に増加する可能性がある[19]

景勝地

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b c d e f 管理指針 2001, p. 1.
  2. ^ オオミズナギドリ繁殖地 - 文化遺産オンライン文化庁
  3. ^ 松前小島 - 文化遺産オンライン文化庁
  4. ^ a b 鳥獣保護区等位置図” (PDF). 北海道 (2016年). 2017年2月10日閲覧。
  5. ^ 文化遺産オンライン, 松前小島, 文化庁
  6. ^ a b 管理指針 2001, p. 4.
  7. ^ a b 854 Cruise, ツアー紹介
  8. ^ 津軽海峡フェリー, 津軽海峡エリアの鯨類紹介
  9. ^ 浅虫水族館, 2021年3月, マリンスノー, No.40
  10. ^ 野田一郎 (2024年2月19日). “函館湾に体長7mミンククジラの死骸が漂着 専門家が調査、病死か”. 朝日新聞. https://www.asahi.com/articles/ASS2M5HG9S2MIIPE005.html 2025年7月1日閲覧。 
  11. ^ a b 小林由美, 條野真奈美, 後藤陽子, 服部薫, 桜井泰憲「渡島半島日本海沿岸における海生哺乳類,特に鰭脚類の出現と漁業被害」『北海道大学水産科学研究彙報』第61巻第2-3号、北海道大学大学院水産科学研究院、2011年12月、75-82頁、CRID 1050282813987317888hdl:2115/48641ISSN 1346-1842 
  12. ^ 松田純佳, 松石隆, 石川創, 山田格1992年から2002年における北海道松前町の鯨類漂着記録(短報)」『日本セトロジー研究』第30巻、日本セトロジー研究会、2020年、7-10頁、 CRID 1391412326424828288doi:10.5181/cetology.0.30_7hdl:2115/84437ISSN 18813445 
  13. ^ 青森県自然保護課, 2 青森県レッドリストに掲載されている希少野生生物の生息・生育状況, 5-33頁,
  14. ^ 松石隆『出動!イルカ・クジラ110番: 海岸線3066kmから視えた寄鯨の科学』海文堂出版〈北水ブックス〉、2018年11月1日、106–107頁。 ISBN 978-4303800024 
  15. ^ 河村章人、中野秀樹、田中博之、佐藤理夫、藤瀬良弘、西田清徳 (1983). “青函連絡船による津軽海峡のイルカ類目視観察(結果)”. 鯨研通信 (日本観類研究所) 351・352: 29-52. 
  16. ^ “函館山の海岸に焼き印を押されたトドを発見”. 北海道新聞. (2006年4月11日). https://www.hokkaido-np.co.jp/movies/detail/5293094919001/ 2025年7月1日閲覧。 
  17. ^ 塩垣優(青森県水産総合研究センター内水面研究所). “青森県の海産魚類”. 増養殖研究所. 2025年7月12日閲覧。
  18. ^ 宇仁義和「北海道近海の近代海獣猟業の統計と関連資料」『知床博物館研究報告』第22巻、斜里町立知床博物館、2001年3月、81-92頁、 CRID 1390292815272342528doi:10.24484/sitereports.125197-87140 
  19. ^ 北斗市役所・経済部・水産商工労働課 (2022年10月11日). “アカウミガメに "異変" 海水温 "上昇" で北海道に 産卵場所も "激減" で…”. 日テレNEWS24 (日本テレビ放送網). https://news.ntv.co.jp/category/society/a65433087666441bb7ff5c08ec7538e0 2025年7月2日閲覧。 

参考資料

関連項目

外部リンク





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