東洋医学の標準化問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 04:22 UTC 版)
韓医学を含めた東洋医学が広く注目されることで、理論の標準化なども試みられ、政治問題に発展することもある。現代では鍼灸は、世界的に活用されており、世界保健機構(WHO)は、1980年代から始まる伝統医学プログラムの一環として経穴の標準化を試みた。日中韓の研究者は多くの検討と議論を重ね、2006年に経穴部位が国際標準化された。この過程で韓国側が「韓国の鍼術方法が採択された」と発表し中国側が反発したが、標準化作業に関わった中国科学院の専門家によれば、最終的に決定された361カ所の経穴に関して、359カ所は中国の国家基準と一致しているという。東アジアの医学は中国を源としながらも、各地で独自の発展を遂げたため、用語や処方、理論にも様々な相違点があり、標準化・統一化には多くの壁がある。しかし、漢方、鍼灸など東洋医学の標準化・グローバル化の流れの中で、アメリカ国立衛生研究所(NIH)では、大幅な予算を割いて中医学中心に研究が行われ、その成果はアメリカのものになっている。研究の規模は2003年の段階で、NIHに属するアメリカ国立補完代替医療センター(NCCAM)と国立がんセンター(NCI)を合わせて250億円に上るものである。アメリカが作ったアジアのハーバルメディスン(漢方薬)の基準が、グローバルスタンダードとしてアジアにおしつけられる可能性もあり、アジアの国々、特に東洋医学の中心である日中韓が分裂したままでいることは、アジアの伝統医学全体にとって弱みであると指摘されている。
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