東中野修道裁判(夏淑琴名誉棄損事件)
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「南京事件論争史」の記事における「東中野修道裁判(夏淑琴名誉棄損事件)」の解説
東中野修道は、著書「南京虐殺の徹底検証」で、南京占領時の12月13日に発生した事件である、南京市街地内の南部の住民である夏一家の強姦殺人も含む一家殺害事件(新路口事件)の生き残りとされる夏淑琴はウソをついていて、関連のジョン・マギーの記録もデタラメであると主張した。それに対し、夏淑琴は「ニセ被害者、詐欺師呼ばわりされて、名誉を傷つけられた。(引用者注:東中野の説明を指摘し)東中野氏は同じ本の後の記述では問題をboyonetを突き刺したと訳している。(引用者注:中傷のために)意図的にフィルム解説文を誤訳した」と主張した。その後、夏は2006年5月15日に東京地裁で、東中野を被告として名誉毀損で提訴した。 東京地裁の裁判の2007年11月2日判決にて、東中野修道の敗訴となる。判決では「通常の研究者であれぱ(中略)その不自然さの原因を探求すべくそれまでの解釈過程を再検討して、当然に「7、8歳になる妹」と「8歳の少女」が同一人である可能性に思い至る(中略)以上述べた2点だけからしても被告東中野の原資料の解釈はおよそ妥当なものとは言い難く、学問研究の成果というに値しないと言って過言ではない」として、裁判長は夏淑琴への名誉毀損を認め、東中野と出版元の展転社に対し400万円の慰謝料支払いを命じた。この判決に対して東中野側は控訴したが、控訴審の東京高裁でも2008年5月21日に地裁と同様に慰謝料支払いを命じた(ただし高裁では地裁判決文の「以上述べた2点だけからしても被告東中野の原資料の解釈はおよそ妥当なものとは言い難く、学問研究の成果というに値しないと言って過言ではない」を「不合理であって妥当なものということができない」との表現に変更)。 東中野側は上告したが、2009年2月5日、最高裁は東中野と展転社からの上告を棄却、一審判決通り、両者に対し、合計400万円の賠償を命令する裁判が確定した。2009年4月16日にこの賠償金は支払われた。
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