本法令の概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/26 05:11 UTC 版)
本法令は、一般の刑罰法規と異なり匪徒すなわち「土匪」、「匪徒」に限って処罰するものである。「匪徒」の定義については、その目的が何たるかを問わず、暴行又は脅迫を以ってその目的を達するため多くの人数で結集したものとされた(第1条)。 刑罰の内容は極めて厳しいもので、匪徒の首魁(首謀者)及び教唆者は死刑に処せられた(同条第1号)。謀議参加者または指揮者は死刑に処せられた(第2条)。附和随従した者又は雑役に服した者は有期徒刑又は重懲役に処せられた(同条第3号)。第2条では、第1条第3号にしか当たらない者でも、以下の行為をした者が死刑に処せられるとされた。官吏、軍隊に対して抵抗したとき(第1号)、放火により建造物、汽車、船舶、自動車、橋梁を焼棄もしくは毀壊したとき(第2号)、放火により竹木穀物等を焼棄したとき(第3号)、鉄道又はその標識等を棄壊したときや往来の危険を生じさせたとき(第4号)、電話機等の破壊(第5号)、婦女の強姦(第6号)、人の略取や財産の掠奪(第7号)である。すなわち第2条各号の行為に関わるものは、指導者たると部下たるを問わず全て死刑に処せられたのである。未遂犯も既遂犯と同等にみなされた(第3条)。兵器弾薬金銭等の支給や会合場所の提供等の幇助行為も死刑又は無期徒刑に処すとされた(第4条)。 このような極めて重い刑罰内容の反面、匪徒の自首を奨励する匪徒が自首した場合の大幅な減刑が定められており、完全な刑罰の免除も可能であった(第6条)。厳罰をもって脅しをかけるだけでなく適用に大きな幅のある刑罰令であった。加えて、本令施行前の行為であっても遡って本令でもって適用するとも定めていた(第7条)。
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