月面上の輸送
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/15 06:24 UTC 版)
月入植者は、貨物や人のモジュールや宇宙船との行き来、また長期間の月表面の広大な領域の科学調査のため、長距離を移動する能力が欲しくなるだろう。提案されたコンセプトは、小さなオープンローバーから、研究設備を伴った大きな与圧モジュール、また少数ながら飛ぶものや跳ねるものまで、様々な乗り物のデザインを含んでいる。 地形が険しくも山がちでもなければ、ローバーは役立つことができる。2004年時点で、月表面で活動したローバーは、ボーイングにより作られたアポロの月面車 (LRV) と、ソ連のルナ計画で使用された無人ローバールノホートのみである。LRVは2人乗りのオープンローバーで、月の1日に92kmを移動できる。また、NASAの研究の一つ、移動月面研究室 (MOLAB) のコンセプトは乗員2名の有人与圧ローバーで、396kmもの距離を移動できる。ソ連も将来の月や火星への有人ミッションで使用するために、新しいルノホートシリーズ (DLB Lunokhod 1-3/LEK) とL5と呼ばれる異なるローバーのコンセプトを開発していた。これらのローバーのデザインは、より長期間のミッションのため全て与圧されていた。 一旦、複数の基地が月表面に確立されると、それらは恒久的な鉄道網で結ばれることになるだろう。輸送手段としては伝統的な鉄道と、磁気浮上式鉄道 (Mag-Lev) の両方が提案されている。磁気浮上式鉄道は、地表に列車を減速させる大気が無いため、地球上での航空機に匹敵するほどの速度を達成でき、特に魅力的である。しかしながら、月の列車には地球との一つの重要な違い、個々の車両に密閉と生命維持装置を必要とするということがある。車両に穴が開くことは生命の速やかな喪失に繋がるため、列車は脱線にも非常に高い抵抗力を持つ必要がある。 難しい課題だが、飛ぶ乗り物を使用するということも良いアイデアであるかもしれない。ベル・エアロシステムはNASAの研究の一部として、ルナ・フライング・ヴィークル (LFV) と呼ばれるデザインを提案した。また、ベルは類似したコンセプトの有人飛行システム (MFS) も開発している。
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