景気等との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 04:02 UTC 版)
失業率は、国全体の景気動向を知る上で重要な指標となっている。不況による失業率の上昇は、労働力が有効に活用されていないという経済的な無駄が増えていることを意味する。 失業率は様々な経済活動と関連しながら変動する労働市場においての需給の引き締め度合いを表すシグナルとなる。 失業率の抑制は経済政策の重要な目標とされる。また、失業率を減らすことは、労働の経済学の重要な課題である。 失業率は、 様々な経済活動の「結果」 失業率を契機とした景気変動などに影響を与える「要因」 というの二つの側面がある。 失業率は景気と相関があると言われているが、動きが一致するとは限らない。失業率は、景気循環要因以外にも、経済構造に関連する要因によっても動く。伝統的な日本的経営のもとでは、企業は従業員の雇用を守ることを企業の社会的使命の1つと考えており、人員整理、特に解雇をなるべく忌避し、ぎりぎりまで状況を見極めようとするからである。その反面、採用についても、大企業になるほど、慎重で計画性や人員構成のバランスを重んじ、不要不急の採用は避ける傾向にある(一方で、近年非正規雇用の採用は柔軟に行っており、雇用関係指標を見る際にはその点も考慮に入れる必要がある)。 また、労働者側も、不況が長期化すると就業意欲喪失者が増加するが(不況で求人が少なくなり「どうせ就職できない」とあきらめる人が増える)、このため失業者数が減り、失業率を押し下げる要因になり、表面上は景気が回復したかに見える。逆に、景気回復局面では(景気が良くなって求人が増えるだろう、と)新規に仕事探しを始める人が現れるので、かえって就労を希望する「失業者」が増えて、失業率を押し上げることになる。 以上のようなことから、失業率は景気に対して遅行指標となっており、失業率のみならず他の景気指標を併せてみる必要がある。失業率は景気動向と比較して、通常1年から1年半送れて変動する。また、景気の先行指数の代表である株価と、遅行指数の一つである失業率は、一時的に正反対の動きを見せることがある。
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