普遍史の世界観
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 15:08 UTC 版)
普遍史は本来宇宙論までを含むものだが、実際にはローマ帝国の遠征や貿易などを通じて認識される範疇にとどまり、『神の国』でも「(世界は)アジア、ヨーロッパ、アフリカがすべて」(16章-17)と述べられている。対蹠人と呼ばれる地球の反対側にいる人間については「いかなる根拠もない」(16章-9)と述べているが、『神の国』中には積極的に地球球体説を肯定する記述もなければ否定する記述もなく、さらに地球平面説に対する言及もないのでアウグスティヌスが世界の形状に関していかなる見解をとっていたかは『神の国』からは不明である。地球平面説#初期のキリスト教会も参照。 その一方で、ギリシア人やローマ人が信じていた伝説の怪物的人間を普遍史は取り込んだ。アウグスティヌスはこのような異型の人類を『神の国』16章-8で「奇怪な人間の起源について」という題で扱い、一本足の人類や、無頭人、またはふたなりなどを例に出しつつ、それらが「理性的で死すべき動物」である限り、彼らもまたアダムの子孫だと述べている。普遍史には、古代から受け継がれて来たこのような怪物の伝説が入り込み、「化物世界誌」という概念が中世ヨーロッパまで引き継がれていった。
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