星雲のなかで (Within the Nebula)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/14 21:29 UTC 版)
「太陽強奪」の記事における「星雲のなかで (Within the Nebula)」の解説
初出は「ウィアード・テイルズ」誌 1929年5月号 カノープスにある銀河連邦評議会の会場に、銀河系内の知的種族一千種の代表者が集まった。議長が話し始めた。オリオン大星雲として知られている高温のガス雲が、数週間まえから回転を始めた。その速度は日ごとに早くなっており、あと2週間ほどで四方に飛散することになる。高温のガスが散らばれば、惑星は焼かれ、恒星はガスの塊となってしまう。この星雲が回転する原因を探らなければならない。幸いなことに、太陽コロナを研究するために建造中の宇宙船があり、これは数千度の高温にも耐えることができる。船は小型なので3人の乗員しか乗せられない。これから、過去の業績や宇宙航行の経験が豊富なその3人を選定する。議長の声が響いた。「アークトゥルスのサー・サン、カペラのジョー・ダハット、太陽828(地球の太陽)のカー・カル」。3人の乗った宇宙船は、10日あまりの航行ののちにオリオン大星雲に到着した。高温の表面に沿って調査していたところ、突然ガスのほのおが伸びてきて船を内部にひきずりこんだ。エンジンを全開にしても脱出できず、星雲の内部に出た。そこは空洞になっていて、中心には巨大な惑星があった。惑星の表面は黒い金属に覆われていて、ひとつだけある縦坑からは白い光が出ていた。縦坑の調査に向かった船は、光に当たるとエンジンが停止し、縦坑の底に不時着した。そこには生き物がいた。不定形で数フィートの大きさがあり、偽足で移動する星雲人だった。それらに捕らえられた一行は、並みの星雲人の5倍は大きな身体を持った「星雲王」と会った。星雲王はジョーと機械で接続し、お互いの思想を交換した。急にジョーは暴れだし王に襲い掛かったが、衛兵に阻止された。その理由は、星雲王の野望を知ったからである。この惑星が星雲の内部に誕生し、生命が芽生えて文明を持った。周りの星雲からの熱によって惑星は快適だった。長い年月が過ぎるうちに、星雲が収縮しはじめて惑星に接近してきた。その熱をさえぎるため、星雲人たちは惑星の表面を金属で覆い、地下に移住した。だが、また年月が経つうちに星雲がだんだん接近してきて、熱によって温度があがってきた。そこで巨大惑星の自転エネルギーを、星雲に伝える力線をあてて、星雲を回転させていたのである。あの縦坑から出ていた光が力線だったのだ。3人は深さ25フィートほどの、なめらかな金属で作られた縦坑に監禁された。梯子もロープも無く、脱出は無理かと思われたが、3人が手足をいっぱいに伸ばして、人間ピラミッドを作って逃げ出した。回転を止めるために、残された時間はあと1時間あまりだ。
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