日本におけるプロット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/17 23:13 UTC 版)
「プロット (物語)」の記事における「日本におけるプロット」の解説
日本の映像産業では、脚本などを執筆する前に、ストーリーの大まかな構成を理解するために書かれる小説体の文書そのものが〈プロット〉と呼ばれている。それは、脚本家自らの執筆のためだけのものではなく、企画書に添付してプロデューサーに提出される。この場合のプロットは、製作者が読むことを前提としたビジネス文書である。そのとき、プロットの枚数は、ワープロで1枚ほどの梗概 (シノプシス) から、同30枚以上まで様々である。脚本家の斉藤ひろしは、日本では、コンクールに応募するときにはワープロで1-2枚程度、プロデューサーに企画を持ち込むときには同5-10枚程度が望ましいとしている。このように、日本の映像産業においては、脚本の前段階の文書がプロットと呼称されている。 斉藤によれば、日本の映像産業においてプロットの必要とされる理由は主に三つある。第一に、脚本を作成する前に、プロデューサーが構成の完成度を確認するためである。第二に、プロデューサーが読む時間を節約するためである。第三に、心理描写のある小説体の文章のほうが、最小限の説明しかない客観描写のみの脚本より、製作者にとって理解しやすいためである。 また、日本の漫画制作でのプロットは、ネーム (絵コンテ) の前段階のメモ書きを意味する。日本の漫画のプロットは、あらすじ、もしくはハコ書き、または脚本そのままの形などで書かれるが、いずれにしても、演出の指定を含めた簡単な小説体のものが一般的である。日本の漫画におけるプロットは、やはりストーリーの構成を事前に把握するために用いられる。漫画家で京都精華大学マンガ学部長 (当時、後に学長) の竹宮惠子によれば、プロットは A4用紙2枚程度まで (多くとも3枚) に収めなければ、自分自身や編集者がそれをプロットとして読むことは困難である。
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