新しい歩道橋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 00:23 UTC 版)
「ハンガーフォード橋とゴールデン・ジュビリー橋」の記事における「新しい歩道橋」の解説
新しい歩道橋の設計には、建築家事務所リフシャツ・デイヴィッドソン・サンディランズ(英語版)と建築会社WSPグループ(英語版)の案が採用された。2本の橋の詳細な設計は、コンサルタント建築会社のギフォード(英語版)(現:ランボルUK)が担当した。 橋の建設は、鉄道運行を止める事無く行う必要があり、困難を極めた。ベーカールー線のトンネルは川底からわずか数フィートの場所を通っており、テムズ川に残る第二次世界大戦時の不発弾が爆発するリスクもあったのである。これに対し川底の大規模調査が行われたが、ロンドン地下鉄はこのリスクを受け入れようとせず、予備作業は2000年に中断した。また設計の見直しが行われ、北側で地下鉄線路の内側15mに入っていた支持構造は、川底からヴィクトリア堤防(英語版)の上へと移されることになった。地下鉄付近の掘削は営業時間外に行われ、基礎工事は増担保として手掘りで行われた。 2本の新しい4m幅の歩道橋は2002年に完成した。橋は当初「ハンガーフォード歩道橋」(英: "Hungerford Footbridges")と名付けられる予定だったが、エリザベス2世の即位50周年に因んで「ゴールデン・ジュビリー橋」(英: Golden Jubilee Bridges)と命名された。 300mの長いデッキは、「押出し架設工法(英語版)」と呼ばれる当時としては革新的な方法で架けられ、300トンある250mの長いスチール製トラスを用い、50m1区画を川に向かって押し出す方法が取られた。この作業は各デッキが川に架かるまで5回繰り返され、スチール・コンクリート製の仮設橋脚6本がこれを支えた。また次の2週間には、25トンのパイロン(英語版)7基が据え付けられた。この導入後、デッキはパイロンから吊されるケーブルに繋げるためにジャッキアップされた。コンクリート製のデッキは、作業後に最終位置まで高さを下げて調整され、仮設の橋脚・支えは全て外された。 橋は複雑な構造をしている。デッキは外側に傾いたパイロンによって2本ごと支えられている。デッキは「デッキ・ステイズ」(英: deck stays)と呼ばれる細いスチール軸のファンから吊され、「バック・ステイズ」(英: back stays)と呼ばれる別の軸で固定されている。デッキ・ステイズはデッキ毎に180あり、4km以上のケーブルが用いられている。パイロンの傾きがバック・ステイズを張力から守っている。デッキは鉄道橋の支柱を巻くように取り付けられたスチール製の当て板で守られている。当て板自体は鉄道橋の支柱で支えられているのではなく、橋の基礎にロープで固定された軸に固定されている。このため全体の構造としては、パイロンと多数の軸・支柱にかかる張力を用いて現在の位置に建っていることになる。 新しい橋は、ロイヤル・ファイン・アート・コミッション (en) が主催するビルディング・オブ・ザ・イヤーで、2003年の専門家部門(英: the Specialist category)に輝いた。。2004年にはインスティテューション・オブ・ストラクチュアル・エンジニアズ(英語版)賞の "Structural Achievement Award" にノミネートされ、ライティング・デザインにはシヴィック・トラスト賞(英語版)が与えられた。 2014年には、ガーデン橋(英語版)の建設計画が明らかにされた。この橋はウォータールー橋・ブラックフライアーズ橋(英語版)間に架けられ、年間850万人が利用すると予測されており、ロンドンで最も通行量が多い歩道橋になる予定である。
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