指標表
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抽象代数学の一分野である群論において、指標表(しひょうひょう、英: character table)とは、与えられた群について、その全ての既約表現の指標を表にまとめたものである。これは直交関係などにより対象としている群についての比較的少ない情報から計算できて、群の性質をそこから引き出すことができる。
- ^ James & Liebeck 2001, Definition 16.1.
- ^ Alan Vincent 『演習で理解する 分子の対称と群論入門』 崎山博史、柴原隆志、鈴木孝義、半田真、御厨正博 訳、丸善出版、2012年。ISBN 4621085212。
指標表
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/26 17:47 UTC 版)
詳細は「指標表」を参照 有限群の既約複素指標は群 G についての多くの有用な情報を凝縮された形で表現する指標表をなす。各行は既約表現によってラベルづけられ、行の成分は G のそれぞれの共役類上の表現の指標である。列は G の共役類(の代表元)によってラベル付けられる。第一行を自明指標でラベル付け、第一列を単位元(の共役類)でラベル付けるのが通例である。第一列の成分は単位元における既約指標の値、既約指標の次数である。 ここに u を生成元とする位数3の巡回群 C 3 = ⟨ u ∣ u 3 = 1 ⟩ , {\displaystyle C_{3}=\langle u\mid u^{3}=1\rangle ,} の指標表を書く。 (1) (u) (u2) 1 1 1 1 χ1 1 ω ω2 χ2 1 ω2 ω ただし ω は 1 の原始3乗根である。 指標表は正方形である、なぜならば既約表現の同型類の個数は共役類の個数に等しいからである。指標表の第一行は(上述の通例により) 1 たちからなり、自明表現(成分が 1 の 1 × 1 行列からなる 1 次元表現)に対応する。
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指標表
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/17 21:29 UTC 版)
それぞれの点群について、指標表はその対称操作および既約表現の情報を要約する。既約表現の個数と対称操作の共役類の個数は常に等しいので、表は正方形である。 表自身は、特定の対称操作を適用した時どのように特定の既約表現が変換されるかを表現した指標で構成されている。分子自身に作用する分子の点群におけるどの対称操作も分子を変化させない。しかし、ベクトルあるいは軌道といった一般実体にはこれはあてはまらない。ベクトルは符号あるいは方向性が変化し、軌道は種類が変化する。単純な点群では、値は1あるいは−1である。1は(ベクトルあるいは軌道の)符号あるいは位相が対称操作によって変化しないことを意味し(対称)、−1は符号が変化することを示す(非対称)。 表現は一連の慣習によって名前が付けられる。 A: 主軸の周りの回転が対称 B: 主軸の周りの回転が非対称 EおよびTはそれぞれ二重および三重に縮退した表現である。 点群が反転中心を持つ時、添字gは符号が反転に関して変化しないこと、添字uは符号が変化することを示す。 C∞vおよびD∞hについては、記号は角運動量の記述から借用されている(Σ、Π、Δ)。 表にはまた、デカルト座標系の基底ベクトル、それらやそれらの二次関数に関する回転が、群の対称操作によってどのように変換されるかという情報も記録されている。これらの表示は慣例的に表の右側に記載される。化学的に重要な軌道(特にpおよびd軌道)はこれらの実体と同じ対称性を有するため、この情報は有用である。 C2v対称点群の指標表は以下の通りである。 C2vEC2σv(xz)σv'(yz)A1 1 1 1 1 z x2, y2, z2 A2 1 1 −1 −1 Rz xy B1 1 −1 1 −1 x, Ry xz B2 1 −1 −1 1 y, Rx yz C2v対称性を有する水 (H2O) の例を考える。酸素の2px軌道は分子の平面に対して垂直に向いており、C2およびσv'(yz) 操作で符号が変化するが、その他2つの操作では変化しない。ゆえに、この軌道の指標集合は {1, −1, 1, −1} であり、B1既約表現に対応する。同様に、2pz軌道はA1既約表現の対称性を、 2py軌道はB2、3dxy軌道はA2を有する。
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