指標昆虫とは? わかりやすく解説

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指標昆虫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/09/02 07:36 UTC 版)

指標昆虫(しひょうこんちゅう)とは、環境調査のため選ばれた10種類の昆虫[1]日本に生息する昆虫類のうち、分布域が広く、比較的なじみがあり、平地から山地までの良好な自然環境に生息する、環境指標となる昆虫が選定された。指標生物の一つとも言える。

また、特定昆虫という都道府県別で選定される指標もある。

環境調査とは、環境省により行われている自然環境保全基礎調査のことで、5年ごとに行われている。第2回自然環境保全基礎調査(1978)より、動物分布調査(昆虫類)が実施され、旧環境庁により委託された旧財団法人日本野生生物研究センター神戸大学を中心に、学会をあげて各昆虫の専門家らによる全国調査が行われた。この調査結果は、各都道府県毎にまとめられ『日本の重要な昆虫類』として刊行された。

指標昆虫一覧と生息環境

10種の昆虫一覧を下表に示す[1]。一部の種では環境省によりレッドリストの指定を受け、また多くの都道府県によりレッドリストの指定を受けている。

画像 和名 生息環境 環境省レッドリスト
ムカシトンボ トンボ目 ムカシトンボ科 樹林帯の清流のある渓谷
ムカシヤンマ ムカシヤンマ科 コケ類が生えた低山地
ハッチョウトンボ トンボ科 モウセンゴケなどが自生する湿地の池
ガロアムシ目 乾燥しない山地のガレ場
タガメ カメムシ目 コオイムシ科 平地の湖沼 絶滅危惧II類[2]
ハルゼミ セミ科
ギフチョウ チョウ目 アゲハチョウ科 カンアオイ類が分布する西日本の自然林 絶滅危惧II類[3]
ヒメギフチョウ カンアオイ類が分布する東日本の自然林 準絶滅危惧
オオムラサキ タテハチョウ科 エノキクヌギが混生する林 準絶滅危惧[4]
ゲンジボタル コウチュウ目 ホタル科 カワニナが生息する清水が豊富な小川

生息環境と生息状況

1982年(昭和57年)の環境白書で示された10種の生息環境と生息状況を下表に示す[1]。これらの昆虫類が生息している地点では、その昆虫の生息に適した自然環境が残されていると推定できる。絶滅したり減少が著しい地点は、その生息環境が破壊されている地点と推定できる。

和名 調査
地点数
生息環境 生息状況
破壊 不良 良好 不明 絶滅 少ない 普通 多い 不明
ムカシトンボ 661 46 213 356 46 39 247 222 52 15 86
ムカシヤンマ 524 23 133 310 58 6 220 175 25 14 84
ハッチョウトンボ 591 71 164 230 126 59 119 146 94 40 133
ガロアムシ目 228 11 50 159 8 6 144 43 23 8 4
タガメ 353 48 130 155 20 89 183 49 0 2 30
ハルゼミ 783 24 176 556 27 12 88 295 235 152 1
ギフチョウ 967 79 317 483 88 68 282 233 67 12 305
ヒメギフチョウ 373 15 201 130 27 25 105 122 57 6 58
オオムラサキ 1189 72 504 522 91 56 586 326 56 0 165
ゲンジボタル 887 52 276 368 191 31 214 301 136 65 140

脚注

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  1. ^ a b c 環境白書・野生動物の状況”. 環境省 (1982年6月). 2012年8月5日閲覧。
  2. ^ 生物多様性情報システム(タガメ)”. 環境省. 2012年8月5日閲覧。
  3. ^ 生物多様性情報システム(ギフチョウ)”. 環境省. 2012年8月5日閲覧。
  4. ^ 生物多様性情報システム(オオムラサキ)”. 環境省. 2012年8月5日閲覧。

関連項目

参考文献






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