抗告権肯定説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 02:30 UTC 版)
専門家の間では、本決定が抗告を適法としたことに賛成する見解が多数派である(下表参照)。犯罪者予防更生法第43条第1項に基づく戻し収容決定および少年院法第11条に基づく収容継続決定は、厳密には少年法第24条の定める保護処分決定には該当しないものの、これらに対しては抗告が許されるとするのが学説レベルでも実務レベルでも定説である。これらの点からも、上記判例は一般論に属する部分については拘束力を有しない。 また、(判断を誤った)保護処分不取消決定は、本来打ち切られるべき処分を裁判所判断で継続させるという点で収容継続決定と共通性がある。また、戻し収容・収容継続決定に抗告を認めるべきとする理念の根本は上訴による救済であり、その観点からは戻し収容・収容継続決定と保護処分不取消決定との間に差はない。むしろ、非行事実の不存在を理由とした保護処分取消事件は、単に遵守事項違反や要保護性の継続の有無を争う戻し収容・収容継続決定よりも、上訴による救済の必要性はいや増す。これらの点から賛成派は、少年審判規則第55条が戻し収容・収容継続決定と保護処分取消事件を並列している点は、不取消決定に対し少年法第32条の準用を認める有力な根拠と言える、との若穂井の再抗告趣意にも賛同する。 また、本決定により、同法第18条第2項に基づく強制的措置決定や、第20条に基づく検察官送致決定に対する抗告も、保護処分決定とは性質を異にするため否定されたとの見解もある。
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