手技療法のエビデンス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 09:07 UTC 版)
カイロプラクティックについては、背部、頚部および肩の痛みをはじめ、喘息、手根管症候群、繊維筋痛、頭痛などの様々な病態に対する脊椎矯正に関する研究が行われている。腰痛に注目した研究が多く、一部の人には脊椎矯正が腰痛に有効であるということが示されている。2010年に実施された種々の病態に対する手技療法の科学的根拠に関するレビューによると、脊椎矯正(またはモビライゼーション)は、背部痛以外にも、偏頭痛や頚性(頚部に関連した)頭痛、頚部痛、四肢関節の症状やむち打ちによる障害など、数種類の病態に対しても効果が認められるようである。また、このレビューでは、脊椎矯正(またはモビライゼーション)が有効ではないと考えられる病態(喘息、高血圧および月経痛など)や、科学的根拠が十分ではない病態(繊維筋痛、背部痛、月経前症候群、坐骨神経痛および顎関節症など)も明らかになった。 脊椎矯正の副作用には、一過性の頭痛、疲労感、施術部位の不快感などがあり、脳卒中、馬尾症候群(下部脊椎管において神経が圧迫された状態)、椎間板ヘルニアの増悪などの重大な合併症が数例報告されている。これらの合併症と脊椎矯正との明確な因果関係は判明していない。今後の研究でカイロプラクティックの安全性を検証することが求められている。 マッサージ療法に関する多くの科学研究には、予備検討や互いに矛盾するものも多い。科学的根拠(エビデンス)の多くは、痛みやさまざまな病気と関連する他の症状に対する効果を示している。科学的根拠(エビデンス)の多くは、効果が短期的であり、継続して効果を得るにはマッサージを受け続ける必要があることを示唆している。 マッサージ療法は、訓練を受けた施術者によって行われればリスクはほとんどないと考えられていが、施術者は妊娠中など特定の健康状態には注意を払う必要がある 平成22・23年度厚生労働省科学研究費補助金「地域医療基盤開発推進研究事業」(研究代表者:津谷喜一郎)・平成26年度厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』で、鍼灸、あんま・マッサージ・指圧(あマ指)のエビデンスレポートがまとめられている。 整体は日本の手技療法であるが、理論・技法共に統一されておらず、教育レベル・施術レベルもバラバラの状態である。臨床研究はほとんど行われておらず、また行われた場合も、統一された手技療法ではないため、整体全体に適用することはできない。
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