手セリからポス・コンピューターによるセリへ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/07 16:24 UTC 版)
「オートオークション」の記事における「手セリからポス・コンピューターによるセリへ」の解説
オークション黎明期から、昭和50年代後半まで、セリは人間の手によるいわゆる「手セリ」が主流で、オークションのセリを取り仕切る競師「オークショニア」はかつて、オートオークションの花形職と言われる立場であった。オークショニアには成就したくても出来る物でもなく、オークショニアとしての資質が問われたのも事実で、セリ状況においての決断力、交渉力、滑舌の良さ、セリ進行のテンポの把握や体力など、全てにおいて優れた人間しかなれない職種でもあった。何故ならオークショニアの一挙手一投足によって、オークションの成約率、セリの進行が左右される為、オークション会場自体の盛衰に直結していた。「名オークショニア」ともなれば、オークション会場の「花形」でオークション会場でも大変重要なポストに就いていた。だが、そんなオークショニア達にも落日の兆しが現れ始める。ポス・コンピューター(通称POS)システムでの入札機が登場である。きっかけはジェイ・エー・エーの一般会員からの情報で、「牛のセリは機械で行われている。」との情報を聞いたジェイ・エー・エーの幹部達が、実際に牛のセリを視察に行った事から始まる。実際に機械セリの様子を目の当たりにしたジェイ・エー・エー幹部達は驚愕し、視察の帰りに機械化の導入を踏み切る事に決定する。それには人間が行う手セリならではの問題が背景にあった。出品台数の増加に対して、オークショニアのセリの処理能力にも限界が見え始め、セリ開始からセリ終了まで夜遅くまで掛かってしまう事や、疲労による入札コールの聞き逃しをして、安値で成約してしまったり、流してしまう(流札)事などがあり、それが顕著にセリの乱れとなって現れる事態などがあった。また、入札側にも問題があった。入札する販売店が来場者の顔で分かってしまう為、同業他社との軋轢が出来てしまったり、欲しい車が知り合いの業者と競合して入札しにくい等(手を挙げにくい)などの問題があった。また本来、公平中立の立場であるべきオークショニアがの顔馴染みの業者にはセリで便宜を図るように思われてしまったり、気に入らない出品店の車はすぐ流札にしてしまうなどの噂が出てきてしまい、手セリの信頼性が以前に比べ下がっているのも事実であった。
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