成層火山としての磐梯山
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 06:52 UTC 版)
「1888年の磐梯山噴火」の記事における「成層火山としての磐梯山」の解説
磐梯山は成層火山ではあるが、単一の火山体ではなく、前述の大磐梯、櫛ケ峰、赤埴山、そして1888年に消滅した小磐梯の合計4つの成層火山が重なり合っていた。これら4つの成層火山は比較的近接しており、各成層火山の形成とともに、山体崩壊を繰り返すことによって現在の磐梯山が形作られていったと考えられている。 磐梯山の火山活動がいつ頃から始まったのかについては、はっきりとしていない。磐梯山の西には猫魔火山があり、磐梯山と同様の安山岩により火山体が形成されている。新エネルギー・産業技術総合開発機構の調査によれば、猫魔火山から噴出した安山岩のカリウム-アルゴン法による年代測定は111万年前から35万年前との数値が出されている。磐梯山周辺のローム層内のテフラを分析しても猫魔火山起源と考えられるテフラは見当たらないため、磐梯山の活動は猫魔火山の活動終息後に始まったものと考えられている。ただし、磐梯山の山体の地下からは70万年前、112万年前とのカリウム-アルゴン法による年代測定結果が出ている溶岩が見つかっており、磐梯山の初期活動によるものである可能性が指摘されているが、磐梯山以前の噴火活動によるとの解釈もあり、結論は出ていない。 はっきりと磐梯山の活動によるものとされる最初期の噴出物は溶岩が主で、テフラは一層のみである。溶岩の年代測定結果はそれぞれ大きなばらつきが見られ、また一層のみのテフラでは活動の年代推定は困難であるが、磐梯山周辺の広域テフラの層序から、30万年前よりもやや古い時代のものと判断されている。 30万年よりやや古い時代以降、磐梯山は溶岩や火山灰を盛んに噴出する火山活動を断続的に続けてきた。磐梯山の活動は大きく分けて古期、新期の二期に分けられ、古期は櫛ケ峰と赤埴山、新期は大磐梯が形成された活動に当たる。古期と新期の間ないし新期の活動最初期である約4万年前には、磐梯山の南西部で噴火に伴い大規模な山体崩壊が発生し、山麓に翁島岩屑なだれが流れ下った。その後、大規模な山体崩壊後の火口では新たな火山活動が始まり、大磐梯が形成されていった。磐梯山では約9400年前まではマグマが噴出する火山活動が認められているが、その後の噴火はマグマが直接的に関わることが無い水蒸気爆発型であると考えられている。また、中村(2005)では、磐梯山の古期の活動は約50万年前以降、新期の活動は約8万年前から、そして約2.5万年前からは水蒸気爆発型の噴火に移行したとの噴火史を唱えている。
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