悪魔城ドラキュラX_血の輪廻とは? わかりやすく解説

悪魔城ドラキュラX 血の輪廻

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/23 13:58 UTC 版)

悪魔城ドラキュラX 血の輪廻
ジャンル アクションゲーム
対応機種 PCエンジンSUPER CD-ROM2
開発元 コナミ
運営元 コナミ
プロデューサー 山田善朗
ディレクター 萩原徹
音楽 荘司朗
中村圭三
佐野朋子
斎藤幹雄
シリーズ 悪魔城ドラキュラシリーズ
人数 1人
メディア CD-ROM
稼働時期 199310291993年10月29日
対象年齢 CEROA(全年齢対象)
その他 型式:KMCD3005
RSS(Roland Sound Space)対応。
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悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』(あくまじょうドラキュラエックス ちのロンド、英題: Castlevania: Rondo of Blood[注 1])は、コナミから1993年10月29日に発売されたPCエンジン SUPER CD-ROM2用ソフトのアクションゲーム悪魔城ドラキュラシリーズ通算10作目[注 2]であり、タイトルの「X」はこれに由来する。

1995年7月21日には、本作の内容を基本構造はそのままに大幅な変更を施したスーパーファミコン版『悪魔城ドラキュラXX』が発売された。日本国外ではこちらがXに代わって登場した。2007年11月8日には、本作のリメイク版である『悪魔城ドラキュラ Xクロニクル』(PSP)に、『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』と本作の移植版も収録され発売された。ゲーム雑誌の『Xクロニクル』記事などでは、本作はPCエンジン最高のアクションゲームと紹介された[1]2008年4月22日には、Wiiバーチャルコンソールで配信された。2018年10月25日には、『悪魔城ドラキュラX・セレクション 月下の夜想曲 & 血の輪廻』としてPlayStation 4に『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』と共にカップリング移植された。

システム

ステージクリア型の横視点スクロールのアクション。主人公リヒター・ベルモンドが恋人アネットの救出とドラキュラ伯爵退治を目指し悪魔城に向かう。従来のシリーズ作品にあった基本武器の鞭のパワーアップは本作にはない。サブウェポンには通常よりハートを大量消費してアイテム(サブウェポン)の未知なる力を引き出す「アイテムクラッシュ」というシューティングゲームボムのような一瞬無敵・広範囲強力攻撃が新たに加えられた。回復アイテムは従来の肉以外に、ケーキなど様々な食べ物も登場する。

本作はステージクリア制であるが、完全な一本道ではなく、多分岐システムを採用している。ステージは2面から4面(隠しで5面も)には表面と裏面があり、その分岐は『悪魔城伝説』のようなステージ間でのルート選択ではなく、ステージ内で分岐ルートを見つけ出して進み分岐する方式。ステージ中に様々な仕掛けによる別ルートがあり、壁等を破壊したり下に落下したり仕掛けを動かしたり別の道を行ったりすることにより裏ステージへ進んだりする。また、ステージ中には捕らわれの女性4人も隠されており、マリアを救出するとプレイキャラクターとして使用可能となり(プレイ途中でのキャラチェンジはできない)、全員救出してクリアするとエンディングが少し変化する。マリアでプレイすると、女性救出時とドラキュラ戦でのデモシーンや、エンディング、アイテムやゲームオーバー画面などもリヒター時とは違ってマリア独自のものとなる。

一度クリアしたステージはゲーム開始時のファイル画面の「STAGE SELECT」で選択してプレイでき、マリアを救出していれば「PLAYER SELECT」で選択できる。ファイル画面では他に、ステージ踏破率のパーセント表示やコンティニュー回数表示、ゲーム中に取得したお金(ドル袋)を使ってクリア済みステージのボス戦攻略のコンピュータプレイが見られる「TECHNIC」や、BGMが聴ける「SOUND TEST」がある。本作は一部にローランドの「RSS」(Roland Sound Space)方式を採用しており、オーディオステレオで擬似的な3次元立体音響が聴ける。

本作はシリーズ初のCD-ROM媒体で作られ、その大容量がグラフィックやサウンドに生かされて、アニメーションによるデモシーンや、CD-DAによる音楽とキャラクターボイスなどが初めて導入された。PCエンジン向けにキャラクターのイラストや設定もシリーズ初のアニメ風になった。オープニングやエンディング、イベントデモで用いたアニメーションのビジュアルシーンは不評だったという[2]

おまけ要素

PCエンジンのCD-ROMソフトは音楽CDプレイヤーで再生した場合、オーディオトラックを再生すればサウンドトラックCDとして使えるが、データトラックを再生してしまうとスピーカー破損の危険性がある。このため、CDプレイヤーで再生するとトラック1が警告音声、トラック2がデータトラック、トラック3以降がCD-DAのゲームBGM全曲(ゲームのイベント音声やデータトラックがある場合もある)となっているが、本作ではトラック1の警告音声がリヒターとマリアの掛け合い寸劇のようになっている。

なお、他に「あくまぢょおどらきゅらX(ペケ)」もある。これはSUPER CD-ROM²用ソフトをCD-ROM²および旧システムカードで起動すると出る注意画面が本作ではミニゲーム風になっているという、隠しおまけ的なもので、STAGE X 「血の因縁はSUPER CD・ROM²でなければ断てない」となっており、BGMはOp.13。わずか3画面ほどとごく短いながら、ポリゴン風でコミカルにデフォルメされたデザインのリヒターを操作できる。

キャラクター

リヒター・ベルモンド(CV堀川仁
本作の主人公。ベルモンド家の若き末裔で、ドラキュラに立ち向かう正義感の強いヴァンパイア・ハンター。基本武器は先祖伝来の聖なるムチで、サブウェポンは短剣、斧、聖水、クロス、懐中時計、魔法の書、鍵(特殊な扉を開けるアイテムだが攻撃にも使える)。操作は基本的に従来の悪魔城ドラキュラ同様だが、新規アクションとしてセレクトボタンで「アイテムクラッシュ」があり、ハートを大量消費してサブウェポンごとに異なる強力な攻撃を使える(サブウェポンを何も持っていない時は炎の鞭)。他にIボタン(ジャンプボタン)を素早く2回押すと後方宙返り、Iボタン押しながら方向キーで向きを変えずに歩ける。
マリア・ラーネッド(CV:鉄炮塚葉子
隠されたプレイアブルキャラ。ベルモンド家の遠縁の少女。精霊を守護にして戦う。幼いながらドラキュラ退治に行くが捕まってしまい[注 3]、城の地下室に囚われている。[3]助け出すとゲームスタート時のプレイヤー選択で使用可能になる。基本攻撃は白い鳩で、2連射可能。サブウェポンは赤い鳥、ネコ、カメ、ドラゴン[注 4]、タマゴ、音楽の書、鍵。マリア独自のアクションとして、ジャンプ中にもう一度Iボタンで2段ジャンプでき、下 + Iボタンでスライディング(斜め下 + Iボタンでは前転スライディング)。格闘ゲームのようなコマンド入力により強力な隠し攻撃も使える。上ボタンを押し続けるとそわそわ体を動かす。前述の通り初心者向けとされる救済処置キャラであるためか、リヒターより能力が優れているが、防御力だけはリヒターに劣る。
アネット(CV:本田あつ子)
城の方にさらわれ、いずこかに囚われている。
テラ(CV:村田博美
村にある教会のシスター。城の方にさらわれ、いずこかに囚われている。
イリス(CV:安田亜紀江
村の医者の娘。城の方にさらわれ、いずこかに囚われており、救出イベントでは手当てによりプレイヤーの体力を回復する。
ドラキュラ伯爵(CV:石丸博也
復活した邪悪な吸血鬼。冷酷極まりない城主であり、若い女性の血を吸って永久の生命を保っている。

開発

ディレクターの萩原徹によると、1回クリアしただけでは終わらない、何回でも遊べるゲームにしたかったという。また、演出にも凝っており、細かい所にも仕掛けがある。プレイキャラクターは開発中は4人の予定だったが、結局2人となり、リヒターがハードでマリアがイージーというゲーム難易度分け的な役割りとなった[4]

また操作キャラクターにマリアが追加されたのは「メモリに余裕があったから。軽い気持ちで。」によるものである[5][要文献特定詳細情報]

本作では2面から5面までにそれぞれ裏面があり、「'」付けで表記されるが、5'はクリア後でないとたどり着けない隠しステージで、難易度は他のステージより高めとなっている。その理由は本作の難易度が低めに調整された(開発中はもっと高難度だった)ために、悪魔城ドラキュラとして物足りないと感じたプログラマーの高塚新吾があちこちのステージからパーツを寄せ集めて作ったものが5'として追加されたためである[要出典]

各ステージにはサブタイトルがついており、リヒター・マリアどちらでプレイしているかでタイトルが異なるが、このうちのいくつかは、スーパーファミコン版の攻略本『悪魔城ドラキュラのすべて』(手塚一郎著)でのコラムのタイトルからとられている[要出典]

スタッフ

  • プロデューサー:Y.Yamada(山田善朗)
  • ディレクター:T.Hagihara(萩原徹)
  • プログラム:T.Hagihara、GAGENSAI(齋藤雅彦)、Shingo.T(高塚新吾)
  • キャラクター・デザイン:T.Furukawa(古川敏治)、R.B(Reika Bando)、K.Yamada(山田耕司)、KURO!
  • サウンド・スタッフ:あきろぴと(荘司朗)、地獄車中村(中村圭三)、Sanoppi(佐野朋子)、メタルユウキ(斎藤幹雄
  • ギター・ソロ:古川もとあき(古川元亮
  • ビジュアル・スタッフ:あきろぴと、Sanoppi、いもほれいまい(今井一仁)
  • パッケージ・デザイン:いぬまり、M.Yoshihashi(吉橋真弘)
  • ボイス・スタッフ[注 5]:Ryuichi、AKT、NOR、さうしらう、バビット・K、Sanoppi、OPA
  • OP ビジュアル ナレーター: ハンス・ギニター・クラウド

レビュー

ゲーム誌「ファミコン通信」のクロスレビューでは9・6・7・6の28点(各10点、満40点)。「電撃PCエンジン」では95・90・90・95(各100点満点)。「PC Engine FAN」の読者投稿によるゲーム通信簿での平均点は下記の通りで26.0点(満30点)であった[6]

項目 キャラクタ 音楽 お買得度 操作性 熱中度 オリジナリティ 総合
得点 4.5 4.7 4.4 4.1 4.5 3.9 26.0

他機種移植版

Xクロニクル収録のものは、タイトル画面のドイツ語のナレーションの読み手がXクロニクル本編と同じ読み手に変更されており、これはバーチャルコンソール版やXセレクション版も同様である。PCエンジンmini版のみオリジナルの読み手のままとなっている。

「あくまぢょおどらきゅらX(ペケ)」は移植版でもXクロニクル版、バーチャルコンソール版、Xセレクション版、PCエンジン mini版と全てに収録されており、隠しコマンドにより再現可能。Xクロニクル版、Xセレクション版ではステージ名が「血の因縁はここでは断てない」になっている。

No. タイトル 発売日 対応機種 開発元 発売元 メディア 型式 売上本数 備考
1 悪魔城ドラキュラ Xクロニクル 2007年11月8日 PlayStation Portable コナミデジタルエンタテインメント
プロソフト
デジタルワークスエンターテインメント
コナミデジタルエンタテインメント UMD ULJM-05287 -
2 悪魔城ドラキュラX 血の輪廻 2008年4月22日 Wii コナミデジタルエンタテインメント コナミデジタルエンタテインメント ダウンロード
(バーチャルコンソール)
- -
3 悪魔城ドラキュラX・セレクション
月下の夜想曲 & 血の輪廻
2018年10月25日 PlayStation 4 コナミデジタルエンタテインメント ダウンロード - - 悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』とのカップリング移植
4 悪魔城ドラキュラX 血の輪廻 202003192020年3月19日
202003192020年3月19日
202003192020年3月19日
PCエンジン mini
TurboGrafx-16 mini
PC Engine CoreGrafx mini
M2
※ 移植開発担当
コナミデジタルエンタテインメント プリインストール HTG-008

関連商品

  • 攻略本
    • 『PCエンジン 悪魔城ドラキュラX~血の輪廻~ 公式ガイドブック』、小学館、1993年12月10日、ISBN 9784091024619
  • サウンドトラック
    • 『悪魔城ドラキュラX』、キングレコード、1993年11月3日

脚注

注釈

  1. ^ 本作は日本のみの発売だったため欧米版はなく、攻略本等での英題は『Dracula-X Reincarnation of Blood』だったが、後に発売された『Xクロニクル』の欧米版に収録された本作移植版では『Castlevania: Rondo of Blood』となった。
  2. ^ 番外編といえる『悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくん』は除く
  3. ^ 救出時のマリアのセリフは「悪いおじちゃんをやっつけに来たんだけど、捕まっちゃったの」。
  4. ^ 以上の四体は四神朱雀白虎玄武青龍に相当し、アイテムクラッシュ時の掛け声もそれに因む。
  5. ^ 声優が明記されているキャラクター以外の音声等は、これらコナミスタッフ達の音声が収録されている(本作のサウンドトラックCD「悪魔城ドラキュラX」のライナーノーツより)。

出典

  1. ^ GAME SIDE」や「電撃PlayStation
  2. ^ 『月下の夜想曲』サウンドトラックCDのライナーノーツ「今回のドラキュラXでは前回不評だったデモシーンをきわめて普通に作った」
  3. ^ 『マルカツ PCエンジン 通巻67号』角川書店、1993年11月1日、75-82頁。 
  4. ^ 攻略本「悪魔城ドラキュラX 血の輪廻 公式ガイドブック」のスタッフインタビューより。
  5. ^ ドリマガ(ソフトバンククリエイティブ刊)120ページ
  6. ^ 「超絶 大技林 '98年春版」『Play Station Magazine』増刊4月15日号、徳間書店 / インターメディア・カンパニー、1998年4月15日、557頁、雑誌26556-4/15。 

外部リンク


悪魔城ドラキュラX 血の輪廻

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/14 07:07 UTC 版)

悪魔城ドラキュラ Xクロニクル」の記事における「悪魔城ドラキュラX 血の輪廻」の解説

詳細は「悪魔城ドラキュラX 血の輪廻」を参照 1993年PCエンジン発売され悪魔城ドラキュラシリーズ10作目シリーズ初のCD-ROM応作ということアニメ調のオープニングデモ音声による会話デモなどが盛り込まれた。本作収録版では、オープニングナレーションがXクロニクル版のものに差し替えられていたり、ステージ2のボス・ウェアウルフの死亡グラフィック一部書き換えられている等、PCエンジン版異な部分いくつかある。メディア違いからエンディングなどのアニメーションムービー再生時に音と画面大幅なズレ生じている。

※この「悪魔城ドラキュラX 血の輪廻」の解説は、「悪魔城ドラキュラ Xクロニクル」の解説の一部です。
「悪魔城ドラキュラX 血の輪廻」を含む「悪魔城ドラキュラ Xクロニクル」の記事については、「悪魔城ドラキュラ Xクロニクル」の概要を参照ください。

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