性的虐待事件への対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 22:58 UTC 版)
「ベネディクト16世 (ローマ教皇)」の記事における「性的虐待事件への対応」の解説
「カトリック教会の性的虐待事件」も参照 2009年になってアイルランド、ドイツ、アメリカ合衆国におけるカトリック聖職者による児童性的虐待事件が報道されるようになった。このスキャンダルに関してカトリック教会およびベネディクト16世への批判が高まり教会への不信は戦後最悪ともされる状態にまで陥り、教皇の辞任を求めるデモも発生していた。 アイルランドにおける事例については2009年末にアイルランド政府が公表した報告書が騒動のきっかけとなった。この中では1930年から80年代にかけて、教会の運営する施設において数百人の聖職者が少なくとも2500人の少年少女に性的虐待を加えたと述べられており、さらに組織的な隠ぺいがあったと結論している。ベネディクト16世は事件のもみ消しを図ったショーン・ブレイディー枢機卿の処罰を行っていないことが批判された。 300人以上もの被害者が報告されているドイツにおける事件では、教皇が大司教であった1980年の南部ミュンヘン教区においても被害者が存在すること、教皇の実兄が指揮者を務めたレーゲンスブルク聖歌隊においても虐待があったこと、さらに性的虐待に関与した神父の教会施設受け入れを認めたと報道されている。 アメリカ合衆国における事例では、ある神父が1950年から1974年にかけて聴覚障害を持つ児童200人に対して性的虐待を行ったとの報告が1996年に教理省に届けられたにもかかわらず、当時長官であった現教皇はこれに何の回答も行わなかったと報道されている。 これらのカトリック教会への批判に対して、教皇は3月の日曜礼拝において「つまらないゴシップにおびえることはない」と述べ隠蔽への関与を否定した。教皇に近い司教らは、報告されている聖職者による性的虐待は「一部の者の過ち」に過ぎず、「性的虐待はカトリックだけの問題ではない」「何者かの陰謀だ」などと反論している。ベネディクト16世の説教師を務めるカプチン会のRaniero Cantalamessaは、“教会への批判は反ユダヤ主義に基づくユダヤ人迫害に似ている”と述べ、不適切な発言であると再度批判を受けた。 2013年2月11日、ベネディクト16世の退位の発表に対し、これら性的虐待被害者の団体(英語版)は、「性的虐待をするという恐怖の状態を終わらせるのにほとんど何も手を尽くさなかった」として退位を歓迎している。
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