性の自律と社会規範
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/14 07:39 UTC 版)
19世紀に、男性に頼らず自立することは女性にとっての究極の目標だった。当時の女性が夫や男性の近親者、公共機関や慈善団体に法的、経済的に依存していることは、歴史を紐解くまでもなく自明のことである。19世紀後半に女性にも教育や職に就くチャンスが訪れ、所有権などの新しい法律上の権利も生まれたということは(参政権はなかったが)、女性が男性のパートナーを自由に選べる新しい立場に置かれたことを意味していた。新しい女は、その性の自律を非常に重視していたが、女性の放埓をそのわずかな兆候させ見逃さず声高に反対の声を上げる社会においては、それを実践に移すことは容易なことではなかった。ヴィクトリア朝時代の女性にとって、結婚相手以外との性行為はすべて不道徳なものとみなされた。19世紀の後半には離婚のための法律も変わり、新しい女はその経済的独立性をまったく損なうことなく離婚をすることができた。そして離婚した女性がその後に再婚することもよくあった。しかし法律を駆使して社会的な面目を保つことが不道徳的であると考える人は多く、新しい女が進む道は平坦ではなかった。 メアリー・ヒートン・ヴォースは自らの妥協についてこういう言い方をしている。「私生活では、結婚したら立派になったといわれないように、ただひたすら頑張っています」 しかしヘンリー・ジェイムズの小説では、自由な女性が自らの知性や性的な自律の恩恵を受けつつも、最後には自分がした選択の報いを受けるということも確かである[要出典]。 新しい女という潮流が生まれるなかで、その信奉者には、女性の集団において交際するなかでレズビアンとして関係性をもつ自由もあることに気づく女性もいた。「異性愛者との交際においては男性優位になりがちであるが、他の女性を愛することは選べばそれから逃れられる」というわけである。他方では、経済的な自立がすなわちパートナーを選ぶとき保護者の側になる責任を意味しないという場合もあり、女性たちはこの意味でも新たな自由を享受したのであった[要出典]。
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