心臓カテーテル検査の合併症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/28 03:06 UTC 版)
「心臓カテーテル検査」の記事における「心臓カテーテル検査の合併症」の解説
合併症の頻度は合計して1%程度である。高リスク群としては左主幹部病変、3枝病変、左室駆出率30%以上、NYHAⅢ以上の心不全、大動脈弁疾患(特に重度の大動脈弁狭窄症)、腎不全例である。 低血圧 低血圧の原因としては血管迷走神経反射、脱水、心タンポナーデがあげられる。特に造影剤を用いると血管拡張作用、浸透圧利尿によって脱水も起こりやすい。十分な輸液で対処する。血管迷走神経反射では生理食塩水全開で輸液を行い、硫酸アトロピンの静注を行う。 末梢血管合併症 末梢動脈血栓、仮性動脈瘤、後腹膜出血、動静脈瘻、深在静脈血栓症などがあげられる。予防としては抗凝固療法があげられる。 心合併症 心穿孔、冠動脈解離、心筋梗塞がみられることがある。処置中の患者の痛みによって想定する。心穿孔は心臓超音波検査で診断を行う。出血が少量ならば経過観察でよい。そうでなければ心膜穿刺術の準備をする。冠動脈解離は動脈の痙縮によってカテーテルが内膜に楔入したときに造影剤を注入したときにおこる。心筋梗塞は血栓や空気による幹動脈塞栓である。空気塞栓ならば高気圧酸素治療の有効性が知られている。 不整脈 心室頻拍、心室性期外収縮、心房性期外収縮、心房細動、洞性徐脈などが起こりえる。心室頻拍、心房細動は冠動脈造影時に起こりやすい。 神経合併症 脳塞栓、大腿神経障害、正中神経麻痺などが起こりえる。脳塞栓はカテーテル内の血栓、空気塞栓によるものである。神経障害は血腫などによる圧迫である。 腎合併症 血清クレアチニン値が上昇している場合、造影剤によって腎不全にいたり人工透析導入となることがある。術前より十分な輸液と重炭酸の投与(ビカーボンなどを用いる)によって予防を行う。典型的には2日後位から乏尿となり、1週間程度で完成する。 薬剤アレルギー 造影剤の使用によるアレルギーが問題となる。 感染 穿刺部位の感染以外に細菌性心膜炎なども起こりえる。
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