循環形式
循環形式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 09:26 UTC 版)
「海 (ドビュッシー)」の記事における「循環形式」の解説
先に述べたとおり「循環形式」が採用されており、第1楽章と第3楽章は緊密な関係にある。その際に重要な役割を果たすのが、以下に挙げる2つの楽想である。 1つ目は、「十六分音符+付点八分音符」のリズムと「2度の音程」の動きを持つ動機である。以下、本稿ではこの動機を「A」とする。この動機は第1楽章の第3小節目にチェロに現れ、第6小節目には木管楽器によって「2度上行した後に元の音に戻る」動きに拡大される。 Aは、音の進む動きを上下反転させた形(反行形)でも使われる。次の譜例は、第3楽章の終結部分でトロンボーンによって演奏される反行形のAである。 2つ目の楽想は、循環主題、または一種のイデー・フィクス(固定楽想)である。以下、本稿ではこの主題を「B」とする。第1楽章の第12小節目において、コーラングレとミュートをつけたトランペットによって提示される。 Bは第1楽章に3回登場し、第3楽章では様々な形に変容される。次の譜例は第3楽章の第98小節目以降にファゴットとチェロのピッツィカートで奏されるもので、Bの末尾の3連符の音価が拡大されている。この楽想は音の高さを変えて4回登場し、ホルンが奏するAと組み合わされる。 第3楽章の終結部では、Bの後半部分がオスティナートとしても扱われる。譜例の上段はコルネット、下段はチェロおよびコントラバスによるオスティナートである。この後、コルネットの動きは弦楽器などに引き継がれ、最終的には反行形のAの背景となる。 また、第1楽章の終結部に登場するコラール風の主題は、B冒頭のリズムに由来している。この主題は第3楽章においても2回登場するが、他の動機や主題と異なり展開されることはない。
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