弾頭の機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/01/31 15:59 UTC 版)
砲弾は、それが目標に到達したときに、目的とする機能を発揮しなければならない。 これが弾丸のように、単純に目標に突き刺さり、あるいは貫通して対象に物体の衝突に伴う物理的な破壊を起こすだけでよいのであれば、これはただの「塊」で事足りる。大抵は金属の塊が使われるが、目的さえ合致して、対象に期待された損害を与えることができるなら、初期の臼砲のようにそこらの石や、1841年8月のジョン・コウ米海軍大尉率いるウルグアイ艦隊がやったように、固くなって食べられなくなったチーズでも構わない(この「チーズ砲弾」は、相手のアルゼンチン艦隊をひどく驚かせ、撃退に成功している)。更に、衝突時の運動エネルギーをより大きいものとしたい場合は、鉛など比重の大きい金属を使えば同容積でより大きな運動エネルギーを与え、対象を穿つ必要がある場合はより硬ければよいので被甲(被覆鋼弾)される(→弾丸)。 ただ、一般に弾頭と表現される場合には、何らかの機能を持っているものが主体となる。爆発性の弾頭(一種の爆弾)であれば爆発する必要があるが、これは、標的に到達した際に爆発させるため信管が用いられる。化学弾頭や生物兵器弾頭では、目標に到達した際にただ衝突して内容物を飛び散らせても効果が薄く、これを適切に散布するために衝突前に破裂して内容物を撒き散らす。このため、時限信管で発射一定時間後に破裂するようになっているなどしている。核弾頭の場合は、汚い爆弾ならともかくとして、核爆発を起こすためには所定の手順に従って核物質を臨界状態にしなければならず、これはただ単に衝突させればよいという問題ではなく、まして発射以降に弾頭が破損してしまうと核反応が起こせなくなるため、発射などの衝撃や空力加熱に耐え核爆発を起こすよう設計されている。 また、弾頭とはいっても子弾頭のように、複数の弾頭を集束してある弾頭も存在する。クラスター爆弾の場合は、爆弾本体が「キャニスター」と呼ばれる容器で、この中に各々の子爆弾が収納されているが、ロケット弾の中にもこのキャニスターを発射し、更にこのキャニスターが破裂して内部の子爆弾を散布するものも見られる。いわゆる大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、弾頭部分が複数からなり、分散した弾頭部が目標地域に降り注ぐよう設計されている。なお、ICBMはいったん大気圏外にまで打ち上げられ、そこから大気圏再突入を行うため、このときの空力加熱で故障しても機能しない。このためICBMの核弾頭は再突入体とよばれるカバーで防護されている。
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