弾性波調査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 15:37 UTC 版)
「関門トンネル (山陽本線)」の記事における「弾性波調査」の解説
ダイナマイトによって人工地震を起こし、その振動を地震計で記録し分析することによって地質を推測する弾性波調査も実施された。1936年(昭和11年)10月から12月にかけて、東京帝国大学地震研究所および鉄道省大臣官房研究所、本省建設局の3者によって海底部の弾性波調査が実施された。船からダイナマイトを海底に沈め、爆破と同時に無線でそれを通報し、弟子待と小森江に備えつけられた地震計でその揺れを計測した。また巌流島と門司の防波堤上のトランシットを用いて船の位置を測量して爆破位置を確定した。地質が堅いほど弾性波は速く、花崗岩や玢岩、変成岩などでは秒速5キロメートルを超えるが、軟らかい岩石では秒速3キロメートル程度、風化帯や土砂では秒速1.5キロメートル程度であり、測定された弾性波速度から各地点の地質を特定した。また、下関方の取付トンネルにおいても、1938年(昭和13年)3月6日から月末にかけて弾性波調査が行われ、トンネル坑口から約500メートルの地点に大きな断層があることが発見された。 一方、水中微動計を用いた調査も実施した。海底に微動計(振動を測定する機械)を沈め、門司方試掘坑道内のダイナマイトを爆破してその振動を計測するもので、1939年(昭和14年)2月6日から3月5日にかけて実施した。しかし、試掘坑道においてズリ(トンネル掘削によって掘り出される岩石や土砂)を運搬するトロッコの振動が伝わるため、坑内の作業を打ち切るタイミングと海上の潮流が収まって測定に好都合なタイミングを一致させなければならず、船と坑内の連絡がうまくいかないために測定は困難で、途中で打ち切られた。そのため、下関方で微動計を用いた調査を6月9日から36日間にわたって行った際には、試掘坑道ではなく海底にダイナマイトを据えつけて観測を実施した。これにより、510K540M付近に幅約15メートルの断層破砕帯が、510K700M付近から先に軟弱地帯があることが判明した。
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