廃止論と廃止反対論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 09:52 UTC 版)
閏秒の存廃については、国際電気通信連合 (ITU) で議論があり、2013年に閏秒を廃止することを目指す提案もなされていた。しかし2012年1月の総会では2015年の総会まで結論を見送った。 2015年11月に開催されたITUの世界無線通信会議(WRC-15)総会において、閏秒の廃止を含む新たな時系の導入・影響については一層の研究が必要との決定がなされた。今後の研究の結果を踏まえ、2023年のWRCで再び検討することとなった。この決定によって、閏秒は当面の間存続することとなった。 廃止するべき理由としては、次のようなものが挙げられている。 閏秒があるとUTCは一様の尺度ではなくなる(例えば23:00 UTCから翌0:00 UTCの時間間隔が場合によって異なる)ので不便。 閏秒の調整を手動で行わなければならず、間違いや時計間の不整合が起こりやすい。航空管制システムなどのトラブルにつながる可能性もあり、人命への余計なリスクとなる。 一様の尺度が望ましい局面では、GPSの時系のように「ある時点のUTCと同期しつつ閏秒なし」という新しいシステムが用いられることがあるが、「ある時点のUTCと同期しつつ閏秒なし」は実際上、閏秒の数だけバリエーションがあり、時刻システムの乱立につながるうえ、相対的にUTCの価値・有用性・権威を低下させ、度量衡統一の観念にも反する。 一方、廃止に反対する理由としては、次のようなものがある。 天体観測・アンテナ制御などのソフトウェア、ハードウェアなどにはUT1-UTCの絶対値が1秒を超えないという前提で設計されているものも少なくなく、その前提が破れると大きな改修が必要になり、予期せぬトラブルの原因ともなる。 市民生活は依然地球の自転と同期しており、UT1-UTCの差が累積するのは好ましくない。
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