庭の展示
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 01:55 UTC 版)
「パリ万国博覧会 (1925年)」の記事における「庭の展示」の解説
1925年の博覧会では装飾美術的な庭など、ロベール・マレ=ステヴァンスやガブリエル・ゲヴレキアン、ヴェラ兄弟らが敷地に対する表現をコンクリートやペルシャ式パラダイスガーデンで表出させた。ゲヴレキアンの水と光の庭は、デザイン的にも非常に際立ったもので、会場の中央遊歩道に接する三角形の敷地に押し込まれたその庭は、その敷地の三角形を主要なモチーフとしている。マレ=ステヴァンスの庭とちょうど敷地が対になる位置、エバリ・ド・エスプラナードに沿う小さな三角形の敷地に位置した。ここに草花とガラスを用いて、タブロージャルダンの傑作を生み出した。彼のいう絵画的模倣から影響された同時生起の三角形が織り成す幾何学に、芝生斜面と色鮮やかな地被が整然と嵌まり込んでいる。これは回遊の庭ではなく鑑賞の庭であり、傾斜する花壇を形成する三角形のモチーフは分割された池やガラスの手すりから実際の視界まですべてに認められる。三段に積み重なるプールの底には、ロバート・デロネイの手により、青、白、赤の円が描かれ、大きなハーレクイーンの花模様は、除虫菊の朱色とアジェラタムの青が色彩対比を作り出す。この庭の作り出す2.5次元空間において、時間と運動は多面体の硝子球の回転や噴水、補色関係にある色面のもたらす繊細な視覚的揺らめきによって現れてくる。この幾何学と色彩の作品は、二年後のノエールのノエイユ邸の三角形の庭においてさらに探求されることになる。 近代庭園の重要事例はこの博覧会以前以後にも制作されているが、この博覧会後無数の庭園関連の出版物が現れ、庭園のデザイン領域に重要な展開を与えた。その後マレ=ステヴァンスらとともにこうした作品が近代のアバンギャルドなジャルダン、レローズルージュとして脚光を浴び、以降注目をうけた3つのキュビズム的庭園はこうして、記憶の中に万人にとどまることとなる。
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