広義の発掘調査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/19 03:59 UTC 版)
広義には、地表面からは確認できない遺構の所在を確認するための試掘調査(しくつちょうさ、trial excavations)や遺構の性格の概要までを把握する確認調査(かくにんちょうさ)を含む遺跡の調査総体をいう。トレンチ(試掘坑、trial trench)とよばれる溝を、通常幅1m~2mくらいの任意の幅で、交差する二方向ないし平行に掘っていき、それによって遺構の広がりの確認をおこなう。また、10mの方眼(グリッド)を調査区全体に設定して、一定の間隔で短いトレンチを入れたり、2mの方眼を一区おきに表土をはがして、遺構の有無を確認する場合もある。 遺跡の有無を広域にわたって把握するために踏査を行なって遺物の表面採集を行なうものを一般調査(general survey、遺跡分布調査、単に分布調査ともいう。)といい、遺構や遺跡の有無を確認するために、1地点をスコップで掘り下げたり、ボーリング棒(検土杖)を突き刺すことがあるが、主として地表面から確認できる範囲で遺跡の所在を確認することが主体の調査であって、通常は発掘調査のカテゴリーには含まれない。森林の伐採や考古学的知見の増加といった客観的ないし主観的な条件が変化したことによって調査成果が大きく変わる可能性があり、水田遺跡などは遺物をほとんど伴わないので検出は一般に困難をともなう。しかし、古墳や中世城館、窯跡、集落遺跡などは、全体の状況を把握するうえで分布調査は欠かせない。 古墳や寺院跡、山城などについては、現状の測量だけでも形状や規模がある程度確認できるものについては、実測調査をおこなう必要がある。前方後円墳などは、これだけでも編年や地域色、設計企画などといった研究に資するところが大きい。
※この「広義の発掘調査」の解説は、「発掘調査」の解説の一部です。
「広義の発掘調査」を含む「発掘調査」の記事については、「発掘調査」の概要を参照ください。
- 広義の発掘調査のページへのリンク