広義の粘菌類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 05:51 UTC 版)
20世紀半ば頃のもっとも広義の粘菌類(Mycetozoa; 動菌門、変形菌門)は、ジョン・タイラー・ボナー(英語版)(1959)にしたがえば以下の5群であった。 ラビリンチュラ類 Labyrinthulales 水生粘菌ともいう。主として海産。網状の分泌物の上を単細胞の細胞体が滑るように動く。 ネコブカビ類 Plasmodiophorales 寄生粘菌ともいう。主として植物細胞内に寄生。細胞内でアメーバ運動する変形体を形成。やがて胞子塊に変形する。 変形菌 Myxomycetales 真正粘菌(真性粘菌)ともいう。栄養体は多核、網状の変形体で、胞子形成時には細かく分かれて多数の小さな子実体を作る。モジホコリ(Physarum)など。 細胞性粘菌 Acrasiales 単細胞で小型のアメーバで生活し、それらが多数集合して子実体を形成する。タマホコリカビ類(Dictyosteliumなど)とアクラシス類の2つがある。 原生粘菌 Protosteliales 変形菌のような変形体を形成するがごく小型。胞子は管状の柄の先に1つ外生する。 ボナーによればこれらの共通点は「菌類と動物の性質を併せ持つ原始的な群体性生物で、多少なりともねばねばしている」ことのみであり、相互に関係があるかどうか不明確な便宜上の群であった。 その後、まずラビリンチュラ類とネコブカビ類が取り除かれ、21世紀に入って以降これらを粘菌として扱うことは稀になっている。系統的にはラビリンチュラ類はストラメノパイルに、ネコブカビ類はリザリアに含まれている。一方残り3群(真正粘菌、原生粘菌、細胞性粘菌)は引き続き粘菌として扱われているが、分子系統解析によれば原生粘菌と細胞性粘菌は多系統的である。しかし真正粘菌、原生粘菌、そして細胞性粘菌のうちタマホコリカビ類は、アメーボゾアに含まれており、少々の例外を除けばこの3群は単系統的である。 アメーボゾア (省略) コノーサ Variosea 古アメーバ類 Eumycetozoa 細胞性粘菌の一部 真正粘菌 原生粘菌の一部
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