市販車における成功
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 18:28 UTC 版)
「ハンス・ニベル」の記事における「市販車における成功」の解説
ニベルは技術部長に着任した当初はポルシェが残した車両の洗練に注力することとなる。 ニベルが改良した小型車8/38 PS(英語版)(W02。通称「シュトゥットガルト」)は1929年に発売され、世界恐慌下にもかかわらずかなりの生産量を確保し、窮状にあったダイムラー・ベンツの屋台骨を支えた。同時期に、同社としては初の8気筒(直列8気筒)エンジンを搭載した460(英語版)(W08。通称「ニュルブルク」)も手掛け、こちらは様々なバリエーションが作られ、1939年まで販売されるロングセラー車となった。 高級大型リムジンの770/770K(英語版)(W07)はメルセデス・ベンツを象徴する高級車として知られるようになり、ブランド名を冠して「グローサー・メルセデス」(「大きなメルセデス」、「偉大なるメルセデス」)と呼ばれる最初の車両となった。 1931年に発売された170(W15)では、量産車としては世界で初めて四輪独立懸架式サスペンションを採用した。それにより、小型車でありながら安定した乗り心地と操縦性を実現し、ブレーキも油圧式ブレーキを四輪に装備し、トランスミッションにはオーバードライブ(英語版)を備えるなど、数々の先進的な機能が盛り込まれた。 中でもこの時点における頂点と言われるのは、1932年の380(英語版)(W22)である。この車両は2年間で154台しか売れず、商業的には失敗だったが、技術的にはそれまでのメルセデス・ベンツ車両の集大成と言うべきものだった。スーパーチャージャー搭載の「380K」では、オーバーヘッドバルブ(OHV)のエンジンをコンプレッサーで過給し、最上位モデルでは140馬力を出力し、時速145 kmで走行することが可能だった。車体はフロントをダブルウィッシュボーン、リアをスイングアクスル式とした独立懸架を備え、こうした設計は同じニベルの作であるグランプリカーのW25にも影響を与えた。 1934年にはこれまでの車両とはコンセプトを異にする小型車130(ドイツ語版)(W23)を発表した。この車両もまた商業的には失敗した内のひとつだが、かつてのベンツ・トロップフェンワーゲンと同じリアエンジンのレイアウトを採用した、「リアエンジンの小型車」であり、その先進的な設計は高く評価されることになる。
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