岬への訪問について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 04:18 UTC 版)
知床岬の付近は国立公園内の特別保護地区として厳重な管理下に置かれ、道路や大型船の接岸できる港湾施設の建設が規制されており、一般の観光客は事実上立入りできない。岬付近の文吉湾に避難港(行政上はウトロ漁港知床岬地区)が設けられているが、後述の申し合わせにより漁業および行政機関の用務のためにのみ用いられ、レクリエーション目的での動力船の入港は制約されている。 かつては遊漁船などによって一度に多数の旅客を運輸して上陸することも行われていたが(知床岬にロッジを建設する計画が持ち上がったこともある)、環境問題が懸念される事態となったために、1984年に関係諸機関が「知床岬地区の利用規制指導に関する申し合わせ」を行い、レクリエーション目的で海路から動力船によって上陸することは自粛されている。観光客はウトロ港、羅臼港などから出ている観光遊覧船、あるいは自然観察船で、海上から望むことになる。羅臼町では1999年より町主催で清掃活動「知床岬クリーン作戦」を開始し、2010年代にはNPO法人の協力も得てボランティアも参加可能となっており、一般人が岬に上陸可能な数少ないイベントとなっている。 陸路(海岸沿いまたは山岳ルート)あるいは海路(シーカヤックなど)での岬への到達には大きな危険が伴い、難度は非常に高い。整備された道路などはなく、連絡手段や避難・通信手段も整っておらず、また自然環境は過酷である:4。陸路の場合は、道なき道を行かねばならず(場合によっては海の中を歩く必要すらある)、十分な登山の装備と経験が不可欠である。海路の場合も強烈な突風、変化しやすい風と波、の有無などの悪天候に加え、陸上にはクマが高密度で生息し、道路がないためにエスケープルートが無きに等しいため、知識と経験が求められる。前述の理由で携帯電話基地局の建設も規制されているため、通信環境も整ってはいない。これらが伴わない興味本位での訪問は非常に危険である。また、これらを備えた場合でも、訪問はすべて自己責任のもとに行われることを留意する必要がある。 若干名とはいえ特別保護地区内での活動であるため、自然環境への影響が懸念されている。このため環境省は2004年に「知床半島先端部地区利用適正化基本計画」を策定し、これに基づいた「利用の心得」を2008年1月に制定した。この中には登山やシーカヤックで半島先端部を訪れる場合の留意事項が記載されている。 2009年9月、徒歩で岬方面に向かった訪問者のテントが留守の間にヒグマに荒らされる被害があり、環境省釧路自然環境事務所は、知床岬への徒歩での訪問の自粛を要請した。
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