山本化学工業の参加
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 22:18 UTC 版)
「悠 (人工鰭のウミガメ)」の記事における「山本化学工業の参加」の解説
ボディジャケットで泳ぎが遅くなっている問題の解決のために、トライアスロン(スイム)用のウェットスーツや、“高速水着”(競泳の水着)など、泳ぐための素材や商品の製造と開発を行う「山本化学工業」に打診したところ、協力が得られることになり、5月15日に義肢メーカー・川村義肢などのメンバーと共に、悠のジャケットの素材を議題とする検討会議が行われた。こうして、川村義肢は骨代わりとなるヒレ部位の基礎部分を担当し、山本化学工業がヒレを覆う素材や、体に装着するジャケット作りを受け持つことになった。 そして6月になると山本化学工業がボディジャケットを完成させ、6月5日に試着が行われた。この日は新しいジャケット部分のみの装着テストに留まったが、今回のジャケットは、水の抵抗を大幅に縮小させ、かつ伸縮性と耐久性に優れたウェットスーツ用の素材が提供されたことにより、これまでの課題であったジャケットによって増大する水中の抵抗と、前肢の可動域の阻害とが大きく改善されることが期待された。 7月15日には、予定通り、悠は神戸空港人工ラグーン(人工池)に移送されたが、その際に、第31モデルの装着試験がなされた。しかし、冬の間、水族館(水族園)で過ごした悠は、昨年夏の体重100キロから116キロへ、同甲長81.9センチから83.7センチに成長し、またそれに伴ってか、前肢の断端部の形状も変化したため、人工ヒレのサイズが合わず、すぐに外れてしまった。悠が大きく成長したので、新たに採寸と型取りが必要となり、悠は再び水族館(水族園)に移送され、7月25日に山本化学工業が体の採寸を、8月3日に川村義肢がヒレの型取りを行った。 8月12日には新たに採寸や型取りしたボディジャケットとヒレ部分とを試着してみたが、悠にフィットするサイズにはなっておらず、その場でサイズ合わせを行って、この日の試着を終了させた。課題は、「外れないように人工ヒレを装着すること」と、「両前肢周りの動きやすさを保つこと」であり、その両者のバランスが難しく、外れないように人工ヒレのバンドをきつく締めると、締め付けられた前肢を動かせなり遊泳に支障が出るが、逆にバンドの締め方が緩いとすぐに外れるのである。 川村義肢と山本化学工業の合作の第32モデルの装着試験は8月17日に行われた。第32モデルは無事に装着することができ、悠は海面上をこれまでにない速さで泳げたものの、しかし、なかなか潜水ができない結果に終わった。このため急きょ、悠は、観察がしやすい神戸市立須磨海浜水族園の大水槽に戻され、観察されることになった。なお、第32モデルは翌18日にはボディジャケットが破けて外れてしまった。
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